時事・解説/金正日総書記の最近の現地指導


 最近の朝鮮中央通信は、経済部門に対する金正日総書記の現地指導を相次いで報道している。総書記は両江道大紅湍郡総合農場の紅岩分場訪問(12日発朝鮮中央通信)に続いて、19日には羅孝鎮支配人が勤める養魚場を訪れた。また平壌市に新設された家禽牧場も視察(23日発朝鮮中央通信)した。これらは食糧問題を解決するための指導である。

 

ジャガイモ//

適地適作の原則で多収穫

 大紅湍郡はジャガイモの特産地として脚光を浴びている所。同郡への総書記の現地指導(98年10月1日)を契機に、共和国ではジャガイモ栽培を大々的に推進しているが、同郡総合農場紅岩分場のジャガイモの作柄は例年にない豊作と伝えられる。

 ジャガイモ栽培は食糧問題を解決するための対策で、大紅湍郡では昨年、ヨーロッパから導入したヘクタール当たり80トン収穫できる種イモを実験栽培した結果、ヘクタール当たり20トンだった生産高を71トンに伸ばした。

 今回、紅岩分場を訪れた総書記は、営農の実態と農業の機械化の状況を調べた。
 ジャガイモの作柄は例年にない豊年と言われる分場では、チュチェ農法の要求どおり、適地適作、適期適作の原則で地帯の特徴にふさわしい優良品種のジャガイモを植え、多量の堆肥を施して収穫を数倍に増やしている。この経験は両江道と咸鏡北道など高山地帯でジャガイモをたくさん植えて穀物増産につなげる可能性を示している。

 ちなみに江原道では、ジャガイモなどの栽培面積を増やすために、今年3月までに3万ヘクタールの土地を整理した。平安北道でも今年秋から来年秋までに土地整理事業を行う予定で、対象面積は5万5786ヘクタールと伝えられる。

 

魚//

山の水利用し養魚場

 養魚場には、山の中から湧き出て流れる水を利用して、階段式につくられた総計数10ヘクタールにおよぶ多くの池があり、ニジマス、コイ、草魚など色々な魚が泳いでいる。

 養魚場を見て回った総書記は、湧き水と温泉を積極的に利用する一方、魚を養殖することができる適地を多く探しだし、養魚場をさらに建設して、すべての道、市、郡に養魚場を設けるよう課題を示した。

 養魚場では人民により多くの魚を食べさせるため現在、エサをはじめ提起されるすべての問題を解決するための対策に取りかかっている。

 

鶏//

畜産拠点を随所に設置

 家禽牧場は、人民により多くの肉と卵を供給するために建設されたもの。総書記は牧場の外部と内部を見て回った後、東海岸地区にもこうした牧場を建設し、それを手本にして随所に最新式畜産拠点をつくるよう述べた。

 この牧場はニワトリ舎の温度、湿度、照明はもとより、飼料の加工から飼料、水の供給、ふ化、加工処理に至るすべての工程がコンピュータ化されており、多くのニワトリとアヒルの肉を生産して人民の食生活改善に貢献するものとなる。

 また総書記は、人民の食卓を豊かにするためには既存の畜産土台を有効に利用して、生産物を増やすべきだと語った。

 

ウサギ//

農場、家庭など大衆的に飼育

 総書記は家禽牧場を訪れた際、山が多く国の実情に合わせて草食家畜を大々的に飼育すべきだとし、どこでも飼えるウサギとヤギの飼育を大衆運動として繰り広げていくよう語った。

 ウサギとヤギの飼育は、「草を肉に変える」という党の方針に従い、96年から各地で行われている。

 ウサギは穀物飼料を使わなくても育てられることから、コストがかからずにすむ。そのうえ多くの肉と毛皮を得ることができる生産性の高い家畜だ。

 現在、共和国では、工場や学校に新しい優良品種のウサギを送り、繁殖させている。

 労働新聞7月30日付によると、このほど「ウサギ協会」が発足され、各地の機関、企業所、国営農牧場、協同農場、学校での集団飼育と家庭での分散飼育を組み合わせて、大々的に飼育するよう指導しているという。

 一方、ヤギは毒のある草以外なら何でも食べるので、飼料用の穀物も節約できる。乳には100余種の栄養が含まれている。

 労働新聞4日付によると、平壌市江東郡九賓畜産専門協同農場では、96年8月以来育ててきた300匹のヤギが、現在数千匹に達している。

 同協同農場では1日平均1トン以上の乳加工品を生産している。乳加工室で働く李秉九さんによれば、1トンのヤギ乳から酸乳は900キロ、チーズは120〜130キロ作れるという。