日本教職員チュチェ研第23回全国集会/山口


 日朝友好親善を深めるための全国交流集会―日本教職員チュチェ研第23回全国(厚狭)集会が18日、山口県厚狭郡の山陽町文化会館で行われ、140余人が参加した。日本教職員チュチェ思想研究会連絡協議会(清野和彦会長)、日本朝鮮学術教育交流協会(中小路清雄会長)主催によるもの。日本の教職員の間でチュチェ思想の研究普及活動、日朝友好と日朝関係史を正しくとらえる教育実践活動が一層広範囲に展開されていることを示すものとなった。(基)

 

今世紀中に国交正常化を/市民の連帯を盛り上げる

 集会ではまず開会集会が行われ、清野会長と中小路会長がそれぞれ主催者を代表してあいさつ。日本の過去に対する謝罪と補償などを求めた10日の共和国政府声明は、今後の日朝国交正常化運動の道筋を明らかにしたものだと指摘しながら、今回の集会を機に国交正常化運動と両国市民の連帯運動を盛り上げていくことなどを呼びかけた。

 また、麻野他郎・山口県同和教育研究協議会会長が地元実行委を代表してあいさつした後、西澤清・日本教職員組合執行副委員長、蔡鴻悦・在日本朝鮮人教職員同盟委員長、栗原君子・新社会党書記長(前参院議員)らが来賓のあいさつを述べた。

 続いて日本教職員チュチェ研の横堀正一事務局長が基調報告をし、日本が新ガイドライン体制を築く目的は、朝鮮半島で戦争を起こし新兵器・新戦略を展開する実験場にする点にあると、その危険性を訴えた。また、文部省は7月、来年度から朝鮮高級学校生にも大学入学資格検定(大検)受検を認める決定を下したが、これは根本的な改善ではないとし、民族教育に対する処遇を根本的に改善する必要性について言及した。

 続いて集会では、北九州大学の前田康博教授が「朝鮮半島をめぐる情勢の特徴と日本人の課題」と題して記念講演を行い、1951年のサンフランシスコ講和条約調印によって米国に従属するようになった日本の課題は自主・独立であるとし、そのためにも自主・自立・自衛を掲げる共和国との親善をより一層深めるべきだと語った。

 集会では3つの分科会(理論、教育実践、日朝親善活動)が行われた。

 閉会集会では金正日総書記に送る手紙と集会アピールが採択された。

 

分科会

教育通じて正しい日朝史伝えるべき

 1977年以来毎年行われ、今年で23回目を数える日本教職員チュチェ研全国集会は、21世紀を前に日朝間で当面して解決すべき課題を考えさせられる場となった。

 そうした面で、今回の集会が山口県で開かれた意義は大きい。なぜなら、戦時中、下関が釜山との連絡船の出港場として朝鮮人強制連行の窓口になったという歴史的背景の上に立って、現在、強制連行の調査活動が進められているからだ。また、日朝の教職員らが在日朝鮮人の民族教育の権利確立運動に共同で取り組んできた事実もある。

 第1分科会(理論)では、朝鮮大学校政治経済学部の姜日天助教授が「朝鮮における社会主義経済建設の現状と展望―最高人民会議第10期第2回会議と最近の経済動向」と題して報告し、6月に訪朝した際の印象について、90年代の最も困難な時期を乗り越え、共和国経済が復興と正常化に向けて歩み始めたと述べた。参加者からの感想、意見が述べられ、共和国の姿を知るよう日々努めること、正しい情報を広めることの重要性が再確認された。

 第2分科会(教育実践)では、九州朝鮮高級学校の金光正校長が「福岡県における民族教育の歴史と課題」と題して報告。差別の現状を伝えながら、「民族の心」を学ぶ朝鮮学校生の権利を人権問題として扱っていくべきだと訴えた。また山口県宇部市、北海道札幌市からは朝鮮学校と日本学校の生徒の間の様々な交流に関する経験が語られ、若い時からふれあうことの大切さが強調された。

 第3分科会(日朝親善活動)では、山口県、岐阜県、新潟県、兵庫県、千葉県の代表が各地の活動について報告。とくに県下の朝鮮人強制連行の調査に取り組む日朝の活動について語った山口、岐阜の報告は、正しい日朝関係史を構築し、日本の朝鮮侵略・植民地支配の責任と補償の必要性を明らかにして、それが国交正常化の早期実現をはかる契機となることを示した。日本チュチェ研の横堀正一事務局長は集会のまとめで次のように語った。「日朝国交正常化を今世紀中に実現させるという課題を実現するためにも、教育を通じて正しい日朝近現代史を伝えていくべきだ」