インタビュー/初訪朝の沖縄社会大衆党島袋宗康委員長に聞く

今こそ平和外交を/脅威はむしろ米・日・南から


 新社会党の矢田部理委員長(前参院議員)と沖縄社会大衆党の島袋宗康委員長(参院議員)をそれぞれ団長とする両党の合同代表団が、7月20〜24日に訪朝した。代表団はこの間、朝鮮労働党の金容淳書記と会見したほか、万景台など各地を訪問した。初訪朝の島袋委員長に話を聞いた。(根、文責編集部)

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 ―訪朝のきっかけは。

 わが党はかねてより朝鮮の平和統一を願い、日本政府が無条件で人道支援を実施し、関係正常化の方向性を1日も早く見出だすべきとの立場を取ってきた。

 そうした中、結党当初より親密な関係にあった新社会党から訪朝の話を持ち掛けられ、様々な面で共和国への関心を持ってきた立場から、訪朝を決めた。

 ―初めて見た共和国の印象は。

 訪朝前は正直なところ、「食糧難で生活も荒れているのでは」という不安があった。だが、実際に見てみると、共和国は想像以上に素晴らしい国であり、私が思ったところの「社会不安」もまったくなかった。

 美しく整然とした街並みからは、都市計画がしっかりとしている印象を受けた。これは世界に誇れるものだ。また、人々の表情も明るい。平壌市内の刺繍工場を訪れたが、職員はみな闊達に、意欲的に仕事に励んでいた。子供たちも元気がよく、礼儀正しかった。

 最も印象に残ったのは板門店の雰囲気だ。朝鮮半島が南北に分断され、同じ民族が互いに対峙した緊張状態にあるのを目の当たりにし、南北は今、本当に大変な状態にあるということを実感した。

 金容淳書記とは様々な問題を話し合った。来年はわが党の結党50周年に当たり、7月には沖縄でサミットも開かれる。そこで、沖縄から東北アジアの平和を目指し、来年4月下旬ごろをめどに「アジア平和会議」(仮称)を開催したい旨を伝え、共和国の参加を呼びかけた。すると、歓送会の時に朝・日友好親善協会の宋浩京会長から「喜んで参加したい」との返事を頂くことができた。

 ―朝鮮半島「有事」を口実にした日・米・南の軍事結託の動きが顕著だが。

 南朝鮮の米軍基地のミサイルは発射可能な状態にあり、米国の「5027−98」計画に従い、即時に攻撃態勢に入る準備が整っている。これほどの状況下では、共和国は国防をまず考えざるを得ない。共和国でも、軍事的に相当な緊張状態にあることを体感した。

 それを、日本では「北はいつでも戦争を行える」とし、あたかも共和国が緊張をあおっているように報じている。沖縄県民にも「北の脅威があるので米軍は必要」という人は多い。だが、緊張をあおっているのはむしろ日本であり、米・南の脅威に対して共和国が国防を整えるのは極めて当然のことだと思う。

 ―共和国政府は10日の声明で、対朝鮮圧殺政策の放棄や過去の犯罪に対する謝罪、補償など、日本に対する3つの原則的立場を明らかにしたが。

 当然の主張であり、わが党も支持する。

 日本は過去の植民地支配で朝鮮に相当な被害を及ぼした。これを率直に認めて謝罪、補償してこそ両国の真の友好に結び付く。それを、歴史の事実をわい曲して「責任はありません、謝罪も補償もしません」など、とんでもないことだ。

 わが党の基本的立場は、軍事的方法ではなく平和外交で問題を解決すべきということだ。武力で脅すのではなく、外交努力をしたうえで、過去の犯罪を認めて謝罪、補償しないことには関係改善はできない。それなのに日本は成すべきことを怠っている。ここに日本外交の問題点がある。

 日本は、新ガイドライン関連法案など様々な法案を成立させ、米軍への基地提供も国が直接できるよう、法改正を行っている。軍国主義的な方向にだんだんと拡大し、アジア再支配に向けた形を整え、戦前に進んだ道を再びひた走っている現状を大いに懸念する。

 平和外交というものを今後、どう位置付け、実際に外交に結び付けるかが、日本政府に問われている。