時事・解説/第6回4者会談と朝米会談


 第6回4者会談が5〜9日、ジュネーブで開催され、前回同様、全体会合に続いて「朝鮮半島での緊張緩和」「平和体制構築」に関する両分科委員会が行われた。分科委で共和国は、米軍撤退と朝米平和協定締結という根本問題を討議しようとしながら、会談参加者が提起する主張と提案も討議しようと呼びかけたが、米・南朝鮮が共和国の呼びかけを拒否したため、具体的な進展はなかった。次回会談の日程も決められなかった。一方、4者会談を前後して朝米会談が開かれた。

 

第6回4者会談

緊張緩和の根本問題/米軍撤退と朝米平和協定

米・南が論議拒否し空転

 2つの分科委では、第5回会談に続いて実質的な論議に入った。

 「緊張緩和」の分科委では、緊張の根本原因である南朝鮮駐屯米軍の撤退問題を議題にしようとした共和国の主張に対し、米国と南朝鮮は「南北軍事当局の直通電話開設」など、非本質的で2次的な問題にのみ執着し、米軍撤退問題は論議できないと主張した。

 一方、「平和体制構築」の分科委で共和国は、朝米間での平和協定締結を主張したが、米国は平和協定問題は北と南が当事者にならなければならないと反論した。

 共和国が朝米平和協定締結を求めるのは、米国が停戦協定の直接的な当事者であり、南に軍を駐屯させ、政治・軍事・安保問題に対する実権を握っているからだ。当時、南は停戦協定調印(53年7月)を拒否し、58年2月には「国会」で「停戦協定の破棄、無効化」などの決議案まで採択している。

 そもそも米軍撤退、朝米平和協定締結を議題にしようという共和国の原則的立場は、米・南による4者会談提案(96年4月)後に開かれた共同説明会(97年3月)の時から、共和国が明らかにしていたものだ。また米国はその時から、米軍撤退問題も4者会談の枠内で討議できるとの態度を示し、第3回予備会談(同年11月)終了後には「いかなる論議も自由にできる」という立場を表明していた。

 それにもかかわらず米国が今になって共和国の主張を否定し、ひいては4者会談を南北問題でも論議する場にしようとするのは、朝鮮半島の平和保障問題における基本当事者である自らの責任を回避しようとするものである。

 こうして見ると、米国は朝鮮半島の平和と安全を実現しようとの立場ではなく、4者会談を対朝鮮圧殺政策を実現するために利用しようとしている。

 これは「朝米間にはまだ、朝鮮半島の平和を実現するための問題を深く討議するだけの環境と条件が整っていないことを示している」(12日、共和国外務省スポークスマン言明)。

 そもそも4者会談自体、南側が南北対話を進めるために米国に頼み込んだという経緯がある。共和国首席代表の金桂寛外務省副相は、「(米・南朝鮮が)米軍撤退問題の論議などを拒否し続ければ、4者会談へ参加する興味を感じなくなる」(朝日新聞10日付)と述べている。4者会談が朝鮮半島の平和保障に実質的に寄与するためには、米軍撤退と朝米間の平和協定締結のような根本の根本をなす問題討議をしなければならない。今後の成り行きはすべて米国の出方次第と言えよう。

 

朝米会談

米/ミサイル輸出中止で制裁解除示唆
北/主権国家の自主的権利

 一方、4者会談を前後し、3、4日と9日、朝米会談が行われ、金桂寛外務省副相、カートマン朝鮮半島和平担当大使が出席した。

 会談では懸案問題に対する双方の意見を交換した。

 共和国は会談で、衛星およびミサイル発射は主権国家の自主的権利であり、決して誰かと論議する対象のものではないことについて改めて明らかにした(12日、共和国外務省スポークスマン言明)。

 一方、米国はミサイル協議の再開などを提案したという。報道を総合すると、その内容は、ミサイル協議の早期再開、ミサイル輸出を中止した場合、米企業の対北投資規制の緩和などの経済制裁解除――の2つが有力とみられる。

 共和国は第4回ミサイル協議(平壌、3月)で、ミサイルの開発、生産、実験、配備は徹頭徹尾、共和国の自主権に属するもので、誰かと取り引きする問題では決してないとの一貫した立場を明らかにしたうえで、ミサイル輸出の中断で得られなくなる外貨を米国が現金で補償するならば、ミサイル輸出中止の問題も論議できることを示唆した。そして双方は共和国の提案を論議し、引き続き協議を継続するとした。

 ちなみに第3回協議(ニューヨーク、昨年10月)で共和国は、ミサイル輸出中止を行った場合の代償として、毎年10億ドルを3〜5年間にわたり継続的に搬出するよう米国に求めたと言われる。また対北経済制裁を緩和し、それによる共和国の増収が年間10億ドルに達すれば、永続的なミサイル輸出凍結に踏み切ることも打診したという。

 これに対し米国は、ミサイルの発射停止と輸出削減を行ったうえで、生産・開発を徐々に中止するとの段階的方案を提示し、ミサイル問題の前進に応じて対北経済制裁の緩和や食糧の追加支援を実施する用意があることを伝えていた。

 朝米会談に先立つ7月26日、共和国外務省スポークスマンは談話を発表し、米国が共和国との「関係改善」を望むならば(1)敵視政策の表れである経済制裁を全面撤回し(2)反共和国「共助」作りを中止し(3)軍事的脅威を与えない実際の措置を講じる――べきだと主張しながら、「われわれの立場は米国を100年来の宿敵に見なそうとしておらず、米国がわれわれの自主権と選択の自由を認めて善意で対するなら、平等と互恵の原則から米国との関係を発展させていく」との原則的立場を明らかにした。

 米国が信義を示せば共和国も信義をもって対応するだろう。