大阪で子どもの権利条約と外国人学校教育シンポ


 教育シンポジウム「子どもの権利条約とマイノリティ――朝鮮学校・外国人学校の子どもたち」が4日、大阪市のメルパルクホールで開かれ、約700人が参加した。

 兵庫県外国人学校協議会、(社)部落解放・人権研究所、子どもの人権連、(社)子ども情報研究センター、全朝教大阪、在日本朝鮮人人権協会近畿地方本部、在日本朝鮮人京都府教育会、在日本朝鮮人大阪府教育会による実行委員会が主催。大阪府、大阪市などが後援した。

 シンポは、「子どもの権利条約」の順守状況を審査する国連・子どもの権利委員会が昨年6月、学校問題をはじめ朝鮮人を含むマイノリティの子どもたちへの差別的な取り扱いについて解消するよう日本政府に勧告したことを受け、企画された。同委員会副議長のマリリア・サーデンバーグさんをブラジルから招き、勧告を実現させていく方途をともに考えようと準備が進められたが、サーデンバーグさんは公務による海外出張が重なり急きょ訪日を断念。文書によるメッセージと、国際電話による質疑応答での参加となった。

 シンポではまず、実行委員会を代表して兵庫県外国人学校協議会の林同春会長(神戸華僑総会会長)があいさつし、横山ノック大阪府知事、桝本頼兼京都市長、磯村孝信大阪市長からのメッセージ、祝電が紹介された。

 続いて、サーデンバーグさんのメッセージが紹介された。メッセージは、昨年の日本政府に対する勧告が、日本での子どもの権利の分野における基準となると強調。日本政府は子どもの最善の利益を追求する方向で差別解消へ解決策を探り、勧告を実現して行くべきだと指摘した。

 次に、パネルディスカッションが行われた。昨年2月、日本政府に外国人学校への制度的差別是正を勧告した日本弁護士連合会の鈴木孝雄弁護士、兵庫県外国人学校協議会の聖ミカエル国際学校(神戸市)アイリン・パードン校長、民族教育大阪府対策委員会の蔡成泰事務局長がパネラーを、全朝教大阪の太田利信代表がコーディネーターを務めた。

 パネラーらは、外国人の子どもが自らのアイデンティティを育むためには 
教育が必要不可欠であり、外国人の子どもがそうした教育を受けることは当然の権利であると強調。日本政府がそうした教育を行う外国人学校、国際学校を正規の学校として認めず助成、資格面で差別を加えているために被っている不利益、厳しい現状について報告した。 (メッセージとパネラーの発言は7面)