ここが知りたいQ&A/共和国が西海海上境界線の設定を提案したが
米軍も「北方限界線」は一方的と認める/停戦協定と国際法に基づき解決を
Q 共和国が新たな西海海上境界線の設定を提案したというが。
A 7月21日に行われた板門店朝米軍部将官級会談で、朝鮮人民軍が米軍に提案した。米軍側が「北方限界線」は双方の合意なしに一方的に設定したことを認めるとともに、新たな海上境界線を設定することに同意したため、朝鮮人民軍側はその問題を討議するための実務接触の開催も提案。またこの接触には、西海海上境界線設定問題に直接責任ある人民軍と米軍だけでなく、必要ならば南朝鮮軍関係者も参加できることも明らかにした。
Q 西海海上で何が起きたのか。
A 6月15日、武力衝突事件が発生した。共和国の漁船が共和国領海内で正常な漁業活動を行っていたにもかかわらず、南の海軍は漁船を護衛していた共和国艦船に「体当たり攻撃」を加えた。南側が一方的に設定した「北方限界線」を越え、南側の領海を侵入したというのがその言い分だ。南朝鮮海軍の銃砲射撃によって共和国の船1隻が沈没し、3隻が破損した。事件が全面戦争に拡大しなかったのは人民軍の「忍耐力と自制力」の結果だ。
Q 西海に海上境界線はないのか。
A 双方が合意したものはない。そのため共和国は、事件当日の6月15日と、同月22日、7月2日、そして21日の4回にわたる板門店将官級会談などを通じて、西海海上境界線の設定など事件の再発防止を訴えてきた。
Q 人民軍が提案した海上境界線とは。
A 停戦協定に基づき引かれた線である黄海道と京畿道の道境界線A―B点を延長したA点と、北側の康○半島(○は令に羽)先端の登山岬、米軍側管理下の島である掘業島との間の等距離点(北緯37度18.5分、東経125度31分)、北側の島であるオン島と米軍側管理下の島である西格列飛島、ソヒョプ島間の等距離点(北緯37度1.2分、東経124度55分)、共和国と中国の中間線との交差点(北緯36度50.75分、東経124度32.5分)を結ぶ線を指す。
これは法的にも道理的にも合理的で正当な線である。なぜかといえば、(1)順守すべき法である停戦協定に基づいている(2)国際法の要求を十分にくんでいる(3)相手側の事情も十分考慮している――からだ。つまり停戦協定と国際法に徹底して基づき、解決することを基本原則としている。
Q 実務接触はいつ行われるのか。
A 米軍が実務接触に応じるかは定かではない。また共和国の海上境界線設定案を受け入れるかも分からない。会談で米軍側は、南北合意書に基づき南北軍事共同委員会の枠内で実務接触を開こうと主張したが、合意書には海上境界線問題を南北で討議しなければならないとの記述はない。南北対話が決裂し、南北軍事共同委が稼働していない現時点において、米軍側が西海海上境界線問題を南北で討議すべきだというのは、停戦協定に対する責任を回避しようとするものだ。
総合的に見ると、西海海上境界線問題は、停戦協定を履行し、朝鮮半島の平和と安全を守る責任ある当事者間で解決されなければならない。かりに米軍側が実務接触を拒否するならば、共和国は今後、将官級会談も開く意味はないと主張している。