生野南同胞生活法律相談センター/9人の「まわり相談員」
3日にオープンした生野南同胞生活法律相談センターでは、9人の支部非専従活動家と分会委員らが、同胞宅を回って相談案件を汲み上げる「まわり相談員」を務める。
その1人、梁致萬副委員長(田島1分会長)は現在、55歳。地元の多くの同胞と同様、家内工業を営みながら1男4女を育ててきた。老後を子供に頼る気はないと言うが、60の声も聞こえ出し、「もし体に何かあった時は…」と、不安がないわけではない。
同年代の分会員なら皆、事情は似たり寄ったりだ。ところが、「分会ではあんまりそういう話は出えへん。解決策が立つはずもないのに、雰囲気暗くなるばっかりやから」――。
専門相談員を務める医療ケースワーカーの洪東基同胞生活部長によると、地域には1人か2人暮しの同胞高齢者が多いという。「行政の高齢者向けサービスがあっても、情報を知らない人がほとんど」と話す。
少子・高齢化と世代交替による意識変化、経済の先行きの不透明さ…これらに同胞固有の問題もあいまって、同胞らの不安は重層化の様相を見せている。
しかし、センター設立の目的はこうした現状への対応ばかりではない。「総聯支部は同胞らの相談相手に選ばれているか」という関係者らの問題意識が、背景にある。「まわり相談員」を設けたのも、常に同胞の中に入る「総聯本来の姿」を追求せんがためだ。
「悩みを出し合えない分会ではあかん。センターが悩みの受け皿になれば、分会活動の意味も出るし、皆で力を出し合って大きな問題も解決していけるかも知れん。総聯は、そのためにある」(梁副委員長)。
問題山積の同胞社会と、在り方が問われる総聯組織。センターの取り組みは双方が向かうべき方向を探るものと言える。 (金)