共和国の長編小説「永生」翻訳出版/慟哭の年、リアルに描写
1994年7月8日。金日成主席急逝の悲報が世界中をかけめぐった時、すべての朝鮮民族は慟哭の涙に打ち震えた。できれば、間違いであってほしいと誰もが願ったあまりにも悲痛なできごとであった。
主席との永訣は、平壌はじめ全国土を人民が流す悲しみの涙で埋めた。主席に寄せる人民の思慕の情は、古今東西の歴史上、前例がないほど深かったがゆえに、その悲しみも筆舌に尽くし難いものがあった。
本書は、ひたすら祖国と民族のために捧げ、人民とともに歩んだ主席の生涯の最後の年、94年を克明に描いた小説である。本書が共和国で出版されたのは97年6月。原題は叢書「不滅の歴史」―長編小説「永生」。このほど白峰社から日本語で翻訳出版された。
この年にも、主席は協同農場をはじめ各地を訪れ、素朴な農民や労働者と直接語らった。どれほど多くの人々が主席の手を握り、主席の笑顔に勇気づけられたことか。
戦争か対話かという瀬戸際に立った時、世界中が注視する中で、訪朝したカーター元米大統領と会談し、戦争という最悪の事態を回避し、核問題の解決への道筋をつけた主席は、その直後にも2ヵ所の協同農場を訪れている。それらのオーバーワークが死期を早めたのかも知れない。
本書には、一生を人民の幸福に捧げ、自らのことを顧みようとしなかった主席への人民の哀惜の心情が切々と綴られており、胸を打つ。
そして同時に、主席を突然に失った金正日総書記の悲しみと衝撃をリアルに描写している。
フィクションとは言え、総書記の心情、肉声などが、巧みな手法によって浮かび上がってくる。
総書記は主席逝去という絶望の縁の中から立ち上がり、人民をいかに奮い立たせたか。
「主席の忠実な戦士」だといつも自らを位置づけている総書記の人間性と行動力を知る上で稀有な作品と言えよう。
軍靴を引き摺り、銃と剣を引っさげて闖(ちん)入してきた日本帝国主義は36年もの間、朝鮮の国土と人民を塗炭の苦しみに陥れた。国土をじゅう躙し、資源を奪い尽くし、言葉や名前まで奪い、数百万の人々が流浪の民となった。その悲劇は、1世紀近くを経た今も終幕を迎えていないのだ。
その暗黒時代に抗日武装闘争ののろしをあげ、朝鮮人民を生と自由と解放の決死的闘争へと導いた主席。
主席によって生み出された朝鮮革命の炎は、主席の思想と美徳をそのまま体現した金正日総書記によって脈々と受け継がれている。
本書の題名の「永生」の意味を読者は鮮明に理解することができるだろう。(粉)
定価=2000円+税。発行=白峰社(東京都豊島区東池袋5―49―6)
TEL 03−3983−2312