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東海・北信「生活と権利シンポジウム」実行委員会、事前にアンケート調査


 3日、名古屋市で行われた東海・北信地方の「在日同胞の生活と権利シンポジウム」。実行委員会では、シンポ当日のディスカッションの充実を図ろうと、地域の支部、団体、学校、同胞らを対象に事前アンケートを行った。当日、参加者には結果をまとめたものが資料として配布され、シンポ自体もその内容に沿って進められた。こうした事前の努力もあって、東海・北信シンポでは、具体的かつ建設的な意見が多く出されていた。(純)

 アンケートによると、回答者らがもっとも関心を寄せている問題は(1)就職(2)結婚(3)福祉(4)教育(5)融資の順だった。

 東海・北信地方には、同胞結婚相談中部センターと東海トンポ法律・生活相談センターがある。トンポセンターには昨年12月の開設以来、100件近い相談案件が寄せられている。しかし、アンケートに「出会いのパーティーとはどんなものか」「結婚相談所のシステムについて教えてほしい」などと書いた同胞も多く、まずはこうしたセンターの事業内容についてもっと広く知らせる必要性が示された。

 トンポセンターの朴幸枝次長は、「国際結婚で生まれた子供の国籍について知りたい」など、アンケートに寄せられていた質問に対する答えの多くは最近、在日本朝鮮人人権協会が発行した「同胞の生活と権利Q&A」に載っていると指摘しながら、各家庭でこの本を広く活用して欲しいと語った。またセンターに何でも気軽に相談してほしいと呼びかけた。

 李晶林司法書士は、「すでに収拾が困難になってから電話をかけてくる同胞が少なくない。こうした事態を防ぐためにも同胞たちがある程度予備知識を持っておく必要がある」と指摘。支部や本部などで幅広い同胞たちを対象にした勉強会を開くことを提案した。

 就職問題と関連して意見が一致したのは、同胞ネットワークの重要性だ。そのため、総聯中央が設立を予定している就職情報センターに対する関心と期待は高い。朝高卒業生をはじめ求職側と同胞企業家ら求人側のニーズを結ぶためには、「同胞社会全般をつなぐネットワークが構築されなくてはならない」(留学同東海の安徳守委員長)。留学同東海では96、97年、日本の大学に通う同胞学生を対象にした同胞企業説明会を開いたが、「1つの団体の力では紹介できる企業の数が限られる」(同)。

 不況の中、とくに朝高卒業生の就職先を探すのがとても困難になっている現状のもと、愛知中高に就職担当課を設けて生徒たちの就職先を積極的に開拓すべきだとの意見もあった。

 福祉、とくに障害者問題と関連しては、学校教育の中で障害者との交流の場を設け、子供の時から障害に対する正しい理解を広めるべきとの意見が多かった。障害児を持つ石川県の同胞は、朝高生が毎年夏休み中に行う社会実践活動に、障害者との交流などを取り入れてはと提案した。花園大学の愼英弘助教授は、福祉問題に関する相談窓口、情報発信基地としてのシンクタンクの設立を提案した。

 「一発花火ではなく継続してほしい」「同胞の生活と密着した活動をシンポジウムで終わらせないで」「シンポジウムのあとに具体的な計画があるのか」などの意見がたくさん記されたアンケート結果は、組織への期待の表れでもある。当初の目的どおり、シンポで出た意見、提案を実際の政策づくり、運動に生かすことが何よりも大切だ。