ここが知りたいQ&A/南北副相級会談が決裂したが
南が肥料提供の合意に違反/本来の約束守らず、一方的に撤収
Q 北京で開かれている南北副相級会談が決裂の危機にあるが。
A 今会談は、昨年4月の南北副部長級会談以来、1年2ヵ月ぶりに再開された当局間会談である。
会談開催は、4月23日から6月3日まで北京で行われた非公式代表接触での合意に基づくものだ。双方は、南側から北側への肥料提供と、離散家族問題をはじめ双方の関心事となる当面の問題を議題とする副相級会談の開催で合意。6月22日に第1回、26日に第2回、7月1日に第3回会談が、3日には個別接触が行われた。
ところが南側は、直接関連のない肥料提供問題と離散家族問題を結び付け、「離散家族問題の進展がない限り、肥料支援はできない」と、肥料提供に条件を付けた。南側が昨年同様、事実上「相互主義」に転じたことで、会談はこう着状態に陥り、南側が一方的にソウルへ引き揚げたため、現在は中断状態にある。
Q 焦点となっている北京合意の内容は。
A (1)南側は7月までに肥料20万トンを北側に提供し、そのうち10万トンは6月20日までに伝達する(実際は22日に到着)(2)6月21日から副相級会談を開く(実際は翌日開催)――というものだ。北側はこれに基づいて「離散家族問題の進展がない限り、肥料支援はできない」との南側の主張に反論している。
よく見ると、肥料提供問題と離散家族問題は表記上はあくまで並列で、一方が他方の制約を受けるといった直接の関連はないことが分かる。北側団長の朴英洙内閣直属責任参事も3日の会見で「離散家族問題において何らかの目に見える成果が出てから、残りの肥料10万トンを提供するとはなっていない」と語っている。
ところが南側は、あたかも「離散家族で合意したうえで肥料支援をする」と合意したかのように言い出した。その後は、肥料提供という本来の約束の履行を求める北側の主張に一切、耳を貸さず、ついには会談自体を放棄したのだ。
Q 会談では何が話し合われたのか。
A 離散家族問題を優先議題とすることは合意済みなので、当然、この問題が話し合われるはずだった。
ところが、開催1週間前の6月15日、南海軍艦船が朝鮮西海上の北側領海に侵犯して朝鮮人民軍海軍艦艇に体当たりし、銃砲射撃を加えて艦艇1隻を沈没、3隻を破損させる軍事挑発事件が発生した。事態を重く見た北側は第1回会談で、南北間の対決状態が厳しくなる中で、双方が協議のテーブルに着いても結実は期待できないと述べ、南側に謝罪を要求。第2回会談でも、北側に納得の行く措置を求めた。しかし、南側は責任回避に終始した。
とくに第3回会談では、こう着状態を打開する転換的提案として、(1)南側が西海事件について納得の行く回答をする(2)南側が残りの肥料10万トンの輸送計画書を北側に渡し、輸送船の出航日に第4回会談を開き、基本問題の討議に入る――ことを提起した。しかし南側はいずれも拒否し、一方的に会談場から撤収した。
Q 今後の展望は。
A 朴団長は、残りの肥料10万トンの輸送船の出航日に第4回会談を開き、離散家族問題の討議に入ろうと語っており、会談が決裂したとは言っていない。会談の再開如何は、南側が本来の合意を順守する立場に立ち戻るかに掛かっている。