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99上半期の共和国(2)/経済(下)

重工業の土台再構築へ/科学技術発展で活性化に貢献


大規模発電所も建設

 今年の共同社説では、第2の千里馬運動を展開していくと指摘されたことが注目される。

 最初の千里馬運動(1950年代後半)では、重工業を優先的に発展させながら、同時に軽工業と農業を発展させるという、党の経済建設の基本路線に沿って、朝鮮戦争(50〜53年)後の廃墟の中から経済の土台を構築した。第2の千里馬運動の狙いも重工業の土台を再構築して経済を立て直すことにある。

 共和国では昨年までに、部分的に生産を正常化する土台を築いたが、その模範になっているのが慈江道、咸鏡南・北道である。

 まず、金正日総書記が昨年1月以来、これまで5回にわたって現地指導している慈江道では、332ヵ所に自力で中小型発電所を建設し、そこで生産された電気で300余の産業工場と537の揚水場、工作機械工場などを運営している。

 「経済の生命線」(共同社説)と言われる電力問題の優先的解決を目指すのは、工場や企業所をフル稼働させるためだ。

 慈江道で発揮された「江界精神」に見習って、中小型発電所は昨年までに全国で5000個建てられた。

 今年は、引き続き中小型発電所を建設するとともに、大規模水力発電所の建設にも取り組んでいる。

 現在建設中の大規模水力発電所は、総書記が1月に視察した泰川水力発電総合企業所など10ヵ所ある。

 6月に慈江道を訪れた総書記は、長者江発電所と江界青年発電所などの大規模発電所を視察し、現地の労働者たちが国の電力需要を保障するために多くの仕事をしたことについて評価した。

 また咸鏡南・北道では、鉄鋼材生産のレベルを高めるために全力を尽くしている。総書記は3月、「国の基幹工業の重要な基地」と言われる咸鏡北道を現地指導した。昨年3月に続くものだ。

 総書記は、道内にある工場、企業所の活動家協議会を招集、鉄鋼材の生産を増やすための課題を示した。金策製鉄、城津製鋼の両連合企業所は国内屈指の製鉄製鋼連合企業所で、茂山鉱山連合企業所で採掘された精鉱などを原料として利用している。これらの企業所では多くの製品を生産し、経済全般の発展に貢献した経緯がある。しかしここ数年間は食糧とエネルギー不足がネックとなり、工場の稼働率が低下していた。

 咸鏡北道で工場、企業所活動家協議会を招集した背景には、鉄鋼材を増産することによって道内の工業生産を正常化させ、国の基幹産業、重工業の土台を築こうとの総書記の意図が込められている。

 電力問題を解決して鉄鋼材を増産すれば工作、鉱山、農業などの各種機械工場で、鉱山に必要なウインチやクラッシャー、農業に必要な機械類、建設に緊要なクレーンなどを生産できる。これは「経済すべての部門で生産を正常化させる」(共同社説)ことに貢献し、経済の円満な循環を図ることができるのだ。

 

機械工業の立て直しも

 共和国では近年、科学技術の発展を呼びかけてきたが、今年初めて伝えられた総書記の現地指導対象が科学院だったことは注目される。

 3月25、26日には平壌で全国科学者・技術者大会が開催された。この種の大会は91年10月の全国科学者大会以来、約8年ぶり。大会では、科学技術発展5ヵ年計画と先端技術開発の中心課題を徹底的に遂行していくことについて言及された。そして科学者・技術者が電力問題と食糧問題を解決し、金属工業と機械工業、鉄道輸送を立て直して社会主義建設を進めるうえで、緊急に提起される科学技術的問題の解決を優先させながら、経済を活性化するよう強調した。

 また大会と平行して第14回中央科学技術祭典(同月23〜27日)も開かれ、農業と石炭、電力、金属工業と鉄道輸送など、昨年の経済建設に導入された250余の研究資料が展示された。最近では、大規模総合金属企業所の黄海製鉄連合企業所で、コークスではなく無煙炭を使った酸素熱法による、製鉄方法が完成(2月23日発朝鮮中央通信)した。

 共和国では昨年8月の初の国産人工衛星「光明星1号」打ち上げ成功を励みに、科学技術を近い将来、世界的水準に引き上げ、21世紀の近代的な工業を整えていくことになる。 (基)

 

〈主な動き〉

1月 11日 総書記が科学院を現地で指導
  19日 「総書記が泰川水力電気総合企業所を現地指導」と朝鮮中央通信が報道
3月 25、26日 全国科学者・技術者大会
  30日 「総書記が咸鏡南・北道を訪れ工場、企業所活動家協議会招集」と朝鮮中 央通信が報道
6月 17日 「総書記が6月に慈江道を訪れ長者江発電所と江界青年発電所などの大規模発電所を視察」と朝鮮中央通信が報道