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文芸同結成40周年記念公演/歌で綴る40年の歩み


 往年のスターらも出演し、懐かしい愛唱歌で綴られた在日本朝鮮文学芸術家同盟(文芸同)結成40周年記念公演「ハンマウム(心ひとすじ)」(6月29日、東京・北区の北とぴあ・さくらホール)。1959年6月7日の結成以来、同胞社会の民族文化運動の先頭に立ち、芸術の力で同胞たちを励まし奮い立たせてきた文芸同の役割を再認識させた。同地下1階展示ホールでは28〜29日、美術、写真、書芸などの記念展示会も行われた。

 

時代を彩る愛唱歌、舞踊、楽器も/往年のスターらも出演

 公演は、金剛山歌劇団と関東地方の文芸同舞踊部員による歌と踊り「心ひとすじ」で幕を開けた。続いて、映像とナレーションで文芸同40年の歩みが紹介されると、場内のあちこちから「懐かしい」の声が漏れた。

 次は、共和国人民俳優称号を授与されている往年の「スター歌手」、陳礼勲、張海月、洪嶺月の3氏による懐かしの歌謡メドレー。なかでも、すでに第1線を退いて久しい陳氏は「後代のためなら」と迷った末に出演を承諾、マイクを手にしたのは数年ぶりだ。その熱唱には、温かい拍手が送られた。また舞台上では、同胞に愛されてきた人民俳優、功勲俳優らが1人1人紹介された。

 東京、神奈川、北関東歌舞団の民俗舞踊「すばらしきわが山河」、東海、大阪、京都、兵庫、広島から駆けつけた文芸同舞踊部員らの軽快なチャンゴの踊り「春のよろこび」を挟んで朗読された詩「われらの学校」。初代文芸同委員長で、詩人の故許南麒氏が川口朝聯学園(当時)で教鞭を取っていた48年、日本当局の朝鮮学校弾圧に屈せずに学校を守ろうと子供たちを奮い立たせた詩である。当時の映像をバックに朗読したのは、その時生徒だった金光子さんだ。

 続いて女性同盟西東京アリランコーラスサークルが、朝鮮学校に子供を通わせる母親の思いを込めた「カバンの中に」を歌った。

 次は、文芸同メンバーが作詞、作曲し、在日朝鮮人社会で歌い継がれて来た愛唱歌のメドレー。演出を変えながら、「あの風が吹いてくる」などの7曲が披露された。歌に込められた60年代の帰国実現運動の中での祖国への憧れ、70年代の南朝鮮学生運動への共感…。時代を彩って来た愛唱歌だけに、口ずさむ人や手拍子を叩く人、思いにふける人など、観客の反応は様々で、大変盛り上がった。

 続いて、さる3月、訪米公演を行った民族器楽重奏団「ミナク」が、その時に披露したのと同じ「農場の朝」を演奏した。

 さすがプロ、と観客をうならせる出来栄えの金剛山歌劇団舞踊部による舞踊「錦繍江山」が終わると出演者全員がステージに登場し、40周年を記念して作った歌「熱き心で」を合唱。公演は幕を閉じた。

 

過去の財産若い世代に/愛される民族文化創造を/継続することが大切/同胞の輪広げたい

 久し振りに歌を披露した人民俳優の陳礼勲さん 在日朝鮮人運動の初期から歌を通じて、困難な時ほど力を発揮する芸術の力を実感してきた。それは今も変わらない。出演依頼を受けた時は迷ったが、過去の財産を若い世代に伝えたいと思い引き受けた。同胞たちに喜んでもらえて光栄だ。

 オープニングのナレーションを担当した文芸同大阪委員長の許玉汝さん 民族文化運動で何よりも大切なのが継続。次の世代に引き継いでいくことが重要だ。結成40周年を機に、地域に根づいた運動をより力強く押し進めていきたい。

 金剛山歌劇団歌手でこのたび功勲俳優称号を授与された金明淑さん 文芸同が困難を乗り越えながら歩んで来た道程を描いた今日の公演は、私の20年間の歌手活動を振り返るいいきっかけになった。伝統を受け継ぎながらも、時代に合わせてより愛される民族文化を私たちが創造していく必要があると感じている。

 高麗書芸研究会常任理事の李裕和さん 文芸同の中で書芸部門の歴史はまだ10年と浅いが、今日、共に40周年を祝うことができたことを嬉しく思う。記念展示会にも意欲的な作品が多数出品された。今後も、同胞に広く愛されている民族書芸を通じて、同胞の輪を広げ、民族の心を伝えていくために、研究、創作活動に取り組みたい。