東京で朝鮮学校生の音楽舞踊公演/7000人観覧
東京都内の朝鮮学校児童生徒約800人が出演する音楽舞踊アンサンブル公演「はばたけ!僕らの夢、私たちの希望」が17、18日、東京・新宿厚生年金会館で行われ、総聯中央の徐萬述第1副議長、許宗萬責任副議長をはじめ同胞、日本市民ら7000余人が観覧した。公演は、内外に広く民族教育と朝鮮学校をアピールしようというもので、学校生活の楽しさと朝鮮人としての誇り、輝ける未来への希望をテーマに構成。司会や映像で朝鮮学校の現状と歴史なども紹介する充実したプログラム、舞踊や器楽演奏などの高い技量と子供たちの生き生きとした姿は、朝・日双方の観客に大きな感銘を与えた。なお韓徳銖議長は18日、会場を訪れ児童生徒らを激励した。
公演は、初級部生200人の大合唱をバックに中級部生が踊るプロローグ「しあわせの歌は満ちて」で幕を開けた。伴奏の楽団もすべて都内の朝鮮学校生だ。
第1章「ときめきの頃」では朝鮮学校の現状紹介を間に挟み、初級部生の合唱「ランドセルに夢をつめて」と舞踊「楽しい通学路」が披露された。次に朝鮮学校の歴史が映像で紹介され、民族器楽合奏「慶祝」と続く。
第2章「誇り」は、チマチョゴリの制服の由来の説明から始まった。60年代、まだ朝鮮学校に制服がなかった頃、自発的にチョゴリで登校したある女生徒から広まった…。高級部生の舞踊「チョゴリへの思い」は古代から受け継がれる民族衣装の歴史を表現した作品。合唱「プリーツスカート」は、毎日美しくチマのひだを整え学校に通う女生徒たちの日常を描いた歌だ。
第2章の締めは、卒業生らには馴染み深い「豊年の願い―マンプンニョン」。男子生徒らの熱演に、大きな拍手が送られた。
第3章「未来はこの手の中に」のオープニングは、初級部生の重唱「私の夢」。「大きくなったら何になる?」という質問に答えていく可愛い歌には、祖国統一と世界平和への大きな夢も込められていた。
合唱「シング」では、初級部生と高級部生が1番を朝鮮語、2番を英語、3番を日本語で歌い、見事なハーモニーを聴かせた。続く民俗舞踊「5太鼓とパラの舞」は高級部生とは思えない高い技量で観客を魅了し、喝采を浴びた。
エピローグ「しあわせのうた」では出演者全員がステージに登場し、観客の大きな手拍子の中で「未来のヒーローたちへ」を合唱。鳴り止まない拍手の中、公演は幕を閉じた。
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「1人1人が自分自身に誇りを持っている姿が印象的。日本の子供たちはどうなんだろうと思った」(寺脇研・文部省大臣官房政策課長)「誇り溢れる笑顔が素晴らしい。民族教育の昇華の一端を垣間見ることができた」(鶴尚・品川区議)
日本の観客が一様に語っていたのが子供たちの姿に溢れる「誇り」だ。それは民族教育によって育まれたもの。朝鮮人の子供が、今の日本で誇りを持って生きるために民族教育は不可欠だ。しかし、日本政府は民族教育の権利を尊重せず、資格や助成などで朝鮮学校を制度的に差別している。
樋口久人さん(自営業)は「在日朝鮮人の民族教育を支援するのは日本にとっても必要なこと。今日のような行事は、日本人がそうした問題を認識し、改善していくためのきっかけとなる」と語った。
一方、「自分にとっての大切な物を再確認した。民族教育を受けてきてよかったし、絶対子供にも受け継いでいきたいと思った」(李必連・朝大生)という感想にあるように、日本の観客らが感じた子供たちの「誇り」を、卒業生ら同胞の観客は自分自身のものとして再確認していた。