視点
80年代から90年代にかけて、南朝鮮で「民主化運動の記録、象徴」(白編集局長)としての位置を不動の物にしてきた月刊誌「マル(言葉)」。6月号で創刊14周年を迎えたことと関連して、これまで表紙を飾った人物から14人をピックアップし、その後を紹介する特集記事を掲載した。その中には元朝鮮人民軍従軍記者の李仁模氏も含まれている。
朝鮮戦争のさ中に捕虜となった李氏は、朝鮮停戦協定に基づき北に送還されるべきだった。にもかかわらず、南当局は彼を政治犯として扱い、34年間の獄中生活を強いた。釈放後、李氏は家族のいる北への送還を熱望、紆余曲折の末、93年3月に板門店経由で帰還した。
昨年11月に訪北した「マル」誌記者が、平壌市内で家族団らんの日々を送る李氏を訪ねたところ、南で暮らしていた時に家族のように世話してくれた人々を思い出し、涙を流したという。
非転向長期囚で家族の元に戻れたのは、これまで李氏1人だけだ。南朝鮮には金仁瑞、咸世煥、金永泰の各氏ら、家族の元に帰りたくても帰れない元非転向長期囚が70余人もいる。
数十年間獄中で孤独なたたかいを続けてきた人々が、残り少ない余生を、故郷で家族とともに過ごしたいと思うのはあまりにも当然だ。
非転向長期囚の送還問題が早期に解決され、第2、第3の李仁模氏が誕生することを願う。彼らには時間がないのだから。(聖)