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教職同代表ら、文部省に朝鮮学校処遇の抜本的改善を要請


 在日本朝鮮人教職員同盟(教職同)中央本部の蔡鴻悦委員長、全国朝鮮高級学校校長会の具大石会長(東京朝鮮中高級学校校長)、東京第1朝鮮初中級学校の呉伯根校長が11日、文部省を訪れ、朝鮮学校への公的助成と朝高生の国立大学受験資格など、朝鮮学校に対し、日本の正規学校(1条校)に準じた処遇を行うよう抜本的な改善を要請した。

 一行は、文部省高等教育局大学課の下間康行課長補佐、政府委員室の豊田三郎室長、学術国際局国際企画課国際教育室の佐藤正室長補佐、生涯学習局生涯学習振興課専修学校教育振興室専修学校第2係の佐藤秀雄主任と面会し、有馬朗人文相あての要望書を手渡した。

 要望書は、在日朝鮮人が自国の文字と言葉で民族教育を実施するのは誰も侵すことのできない普遍的な権利であり、かつて朝鮮を植民地にして朝鮮の言語、文化を奪った歴史的罪過に照らしても、日本政府にはその権利を当然保障すべき道義的かつ法的な責任があると指摘した。

 さらに日本の正規学校(1条校)に準じた学制、カリキュラム、施設を整備している朝鮮学校に対し、日本政府は各種学校だとして教育助成も大学受験資格も認めていないが、受験資格を認めている公・私立大学は250余校に達しており、日弁連や国連の各条約機関も朝鮮学校差別について改善を求めていると強調した。

 そして、人権保障の見地から見ても、日本の真の国際化のためにも、在日朝鮮人の民族教育の権利が尊重され、朝鮮学校に対する処遇が日本の正規学校(1条校)に準じてなされるべきであるとし、当面して(1)私立学校並の助成金を交付(2)朝高生の大学受験にあたり大学入学資格検定(大検)受験を前提とする取扱いを中止――するよう要請した。

 一行はとくに、最近一部の新聞が、文部省が大検の受験条件から「中学校を卒業した者」を外すことで外国人学校卒業生に大検―大学受験の道を開く方針を決めた、と報じたことについて真相を質しながら、これが事実だとしても、国立大を受けるためには、朝高で学ぶ一方で大検の勉強もしなくてはならない生徒たちの負担が軽減されるものではないと強調した。

 文部省側は◇この問題については、わが国の学校体系にかかわる事柄であり、慎重に検討すべき問題と認識している◇国際化等の観点から、諸外国における外国人学校の取扱いについて調査を行っており、現在、その調査の回収・整理が行われている段階◇新聞報道では、大検の受験資格を緩和することについて報じられているが、現在は、調査結果を待っている段階であり、現在何かを決めているわけではない◇この6月ないし7月には調査結果がまとまる予定であり、そのうえで何らかの方向を出すかどうかも含めて今後検討する――と回答した。