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時事・解説/金永南委員長訪中の意義


伝統的友好の強化、発展確認/ア太地域の平和問題でも見解一致

 最高人民会議常任委員会の金永南委員長を団長とする共和国代表団が、中国全国人民代表大会(全人代)常務委員会と国務院の招待で、3日〜7日まで中国を公式友好訪問した。金永南委員長は昨年9月の最高人民会議第10期第1回会議で「国家の代表」である最高人民会議常任委委員長に選ばれている。中国共産党中央委総書記の江沢民国家主席が代表団と会見(4日)したほか、金永南委員長と全人代常務委の李鵬委員長との会談(3日)、金永南委員長、洪成南総理と朱鎔基総理との会見(4日)も行われた。今回の訪中について双方は、「朝中人民の伝統的な友好協力関係をさらに強化・発展させる重要な契機になる」(金永南委員長)、「代表団の中国公式友好訪問はこの数年間、両国の関係発展で一つの大きな出来事となる」(李鵬委員長)と強調している。今回の訪中の意義について見た。(基)

 

新指導機関選挙後初の国家代表団

 「伝統的な友好協力関係の強化・発展」とは、金日成主席と毛沢東主席ら「両国の革命家老世代が整え、発展させた」(江沢民主席)血で結ばれた友好関係を、代を継ぎ発展させることを意味する。

 双方首脳級の往来は、1991年10月の金日成主席の訪中、92年4月の楊尚昆主席の訪朝以来。こういったハイレベルの交流がなかった主な原因は、「94年7月8日の金日成主席逝去後、朝鮮人民は97年7月8日までの3年間、喪に服していたため」(金永南委員長、中国通信=東京)だ。

 しかしハイレベルの交流は続いていた。

 96年には、朝中友好・協力・相互援助条約締結35周年に際し3年ぶりに閣僚クラスの羅幹・国務委員兼国務院秘書長が、さらに中国人民解放軍の海軍艦船編隊が初めて訪朝するなど、延べ35の代表団・代表が訪朝した。

 共和国側からは朝中経済技術協力に関する協定に署名するため洪成南副総理が訪中し、李鵬総理(いずれも当時)と会見するなど、17の代表団が訪中している。

 また機会ある度にトップ同士の祝電交換もあった。

 例えば昨年、江沢民党総書記が全人代第9期第1回会議(3月)で国家主席、中央軍事委主席に再選された際には金正日総書記が祝電を送った。また金正日総書記が最高人民会議第10期第1回会議(9月)で「国家の最高職責」である国防委委員長に推戴された時には江沢民主席が祝電を送っている。今回も金正日総書記と江沢民主席とのあいさつ、贈り物の交換が金永南委員長を通じて行われた。

 こうした流れの中で、「金正日総書記は朝中友好関係を現情勢の要求に即してさらに発展させるために、共和国における新国家指導機関選挙以降初の国家代表団を自ら中国に派遣」(金永南委員長)し、対中外交重視の姿勢を示した。

 今回、党と政府、軍のハイレベルでの顔合わせがそろって行われた。

 共和国では最高人民会議第10期第1回会議で国家機構が発展的に整備・改善され、金永南副総理兼外交部長が最高人民会議常任委委員長に、洪成南総理代理が内閣総理に就任した。

 中国では全人代第9期第1回会議で、李鵬総理が全人代常務委委員長に、朱鎔基副総理が総理に就任した。

 訪中団は国防委副委員長の金鎰武l民武力相、党書記の崔泰福・最高人民会議議長、白南淳外相ら大型代表団で構成された。中国側からは3日の宴会に外交部長、共産党中央委対外連絡部長、人民解放軍副総参謀長をはじめ、鉄道、対外貿易経済協力、文化、教育、公安各部の部長、副部長ら、党と政府、軍の指導部が参加した。

 また白南淳外相と唐家○外交部長(○は王へんに旋)、金鎰武l民武力相と遅浩田国務委員兼国防部長との会談も個別に行われた。

 

中国代表団訪朝招請/10月に外交樹立50周年

 金・李両委員長の会談では(1)両国の関係をさらに強化・発展させること(2)共通の関心事となる国際・地域問題――について突っ込んだ意見が交わされ、幅広い見解の一致を見た。

 関係の強化について、金委員長が党と政府を代表し、中国の国家代表団が都合のよい時に訪朝するよう招請(中国通信=東京)した。

 一方、李委員長は中朝外交関係樹立50周年(10月)にあたる今年、伝統的な中朝友好協力関係の新たな進展を後押しする用意がある(朝鮮中央通信)と応えた。

 また、中国は共和国に食糧15万トンとコークス炭40万トンを無償で援助することを朱鎔基総理が伝えたが、これも「伝統的な朝中友好関係の明白な表れ」(朝鮮中央通信)だ。

 共通の関心事となる「国際・地域問題」として、李委員長は中国大使館の誤爆事件を含む北大西洋条約機構(NATO)軍のユーゴ空爆を上げた(中国通信=東京)。日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法案についても話し合われたであろう。

 こうした米国の「覇権主義、強権政治」(李委員長)や国際情勢の変化の中で、朝中友好を強化することは「両国人民の共同の利益と発展、アジア太平洋地域での平和と安定を守るうえで有益」(江沢民主席)なものとなる。