大阪朝高サッカー部、悲願の全国切符/インターハイ府代表に
大阪朝鮮高級学校(東大阪市)サッカー部が朝高として初めてサッカーのインターハイ(全国高校総合体育大会=高校総体)への切符を手にした。94年から朝高にインターハイへの道が開かれて6年、サッカーでは96年から全国選手権参加が認められるようになったが、団体競技で全国大会に出場するのは史上初の快挙だ。(関連記事)
門戸開放から6年/団体競技で初
6日、高槻市で開かれたインターハイ予選を兼ねる大阪高校春季サッカー大会の決勝リーグ最終戦で、大阪朝高は金光大阪高校を2―0で下して1位となり初優勝。2位の北陽高校とともに8月1〜8日に岩手県で行われるサッカーのインターハイ大阪府代表となった。
金光大阪は昨年度の全国選手権大阪代表校。大阪朝高は府予選の準決勝で惜敗した。
観客席には、総聯大阪府本部の呉秀珍委員長をはじめ在日同胞と生徒や家族、サッカー部OBら1000余人が応援に駆け付けた。
午後1時のキックオフ直後から、大阪朝高は右サイドをえぐる攻撃で相手ゴールに迫った。
そして前半5分、MF梁勇基選手(3年)がペナルティーエリアの外から、「とっさに来たボールに、ありったけの力と神経を集中させ」て放ったボレーシュートで先制点をあげた。
その後も前半17分、ペナルティーエリア内の混戦からFW宋裕選手(1年)がゴールし、貴重な追加点をあげた。
後半に入ると、後がなくなった金光大阪が反撃を開始。しかし執念、運動量ともに上回った大阪朝高が、金光大阪の執拗な攻撃を体を張ったディフェンスでかわし、2―0のまま試合終了。その瞬間、選手たちはガッツポーズをしながら駆け出し、同胞らで埋まった客席も興奮のるつぼと化した。
試合内容について在日朝鮮蹴球団の李康弘部長は、「選手たちの心が一つになっていたし、技術力と忍耐力も十分に発揮された。それらが実を結んだ、完全な勝利」と賞賛を惜しまない。選手らも、「一心団結した力の勝利」(GK康徳昊選手)、「同胞や友人らの応援があったから勝てた」(DF尹愼五、全信俊選手)と口々に語った。
一方、同サッカー部を支えて来た後援会の幹事、呉英五さん(34)は、「この日のために、皆で頑張って来た。今後も新しい伝統を築いて行けるよう、努力を惜しまない」と興奮覚めやらぬ様子だ。金弘輝校長は「民族教育史上に残る歴史的な勝利だ。インターハイ出場は、大阪だけでなくすべての在日同胞の喜びであり誇りだ」と話していた。
闘志と精神力で勝ち取った全同胞悲願の全国切符。大阪朝高の快挙は、すべての同胞たちに勇気と感動を与えた。
神戸は一歩届かず
一方、インターハイ兵庫県予選を兼ねた県大会を勝ち進んでいた神戸朝鮮高級学校(神戸市)は同日の決勝で、昨年度全国選手権3位の強豪、滝川第2に0―4で惜しくも敗れ準優勝。インターハイ初出場は果たせなかった。