同胞の生活と権利 Q&A(中)
在日本朝鮮人人権協会で近く出版する「同胞の生活と権利Q&A」からの抜粋・要約。
外国人登録
「韓国」⇒「朝鮮」書き換えは/要件満たせば可能
Q 私は、かつて外国人登録の国籍欄の表示が「朝鮮」だったが、「韓国」に変えた。これを再び「朝鮮」に戻すことはできるか。
A 一定の要件を満たせば可能だ。
「韓国」表示であっても、「韓国国籍」を保有する積極的な意思を持っているとは言えない場合は「朝鮮」への書き換えが認められる。
具体的には、(1)「韓国」の在外国民登録をしていない(2)「韓国」のパスポートを発給してもらったことがない(3)協定永住許可を受けていない――以上の3点を満たしているような人とその子孫の場合は、書き換えが認められる。これ以外にも、「韓国国籍」を保有する積極的な意思があるとは言えない場合は、認められる余地があると言っていいだろう。
書き換え申請の手続きは、「登録事項訂正申立書」と陳述書を、居住地の役所の外国人登録係に提出する。
申請は本人が行い、本人が15歳未満ならば、親権者が行う。
法定相続分
国籍によって差はあるの/配偶者の持ち分に違い
Q 在日同胞の相続の場合、法定相続分はどうなっているか。
A 被相続人の外国人登録上の国籍欄が「朝鮮」表示の場合は日本人と基本的に同じだが、「韓国」表示の場合は違う面がある。大きな違いが表れるのは配偶者の相続分だ。
「韓国」法適用の場合には、同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は均分とするとしながらも、被相続人の配偶者の相続分は、直系卑属(子・孫)と共同で相続する時は、直系卑属の相続分の五割を加算することとなっている。
これに対し、「朝鮮」表示の場合には配偶者が半分、直系卑属が半分だ。
分かりやすく言うと、妻と子供2人(A、B)を残して夫が亡くなった場合、夫が「朝鮮」表示なら相続分は妻2、A1、B1の割合だが、「韓国」法適用の場合は妻3、A2、B2の割合になる。
よって、「朝鮮」表示の場合、子供の数が多い場合でもその妻の法定持ち分は半分だが、「韓国」法適用の場合、妻の持ち分は半分より少なくなる。
夫婦関係
外登の表記に法的効力は/婚姻届なければダメ
Q 私も夫も「朝鮮」表示だが、婚姻届を日本の役所に提出しておらず、「韓国」の戸籍にも婚姻の記載はない。外国人登録には夫と妻となっている。法律的に問題はないか。
A 法律上の夫婦と認められないおそれがある。その場合、一方が死亡した時にも、残された方は相続人になることができない。
また、2人の間に生まれた子供との法律上の親子関係は、母子の関係があるだけだ。父子の関係は、認知の手続きを取らなければ法的な親子関係はな
い。
このようなケースは、在日同胞1世あるいは2世の年配の夫婦にしばしば見られる。夫の死亡後、相続の手続きをする時になって、妻と子供が夫婦関係や親子関係を証明する書類が外国人登録しかないことに気付くというものだ。これでは法律上の夫婦関係も親子関係も当然に認められない。
法律上の夫婦関係が認められるためには、婚姻届が必要不可欠だ。婚姻届は、日本の市町村役場に提出する方法で足りる。
在留資格
「短期」ビザの妻と暮らすには/「配偶者」への変更を
Q 私は「特別永住者」だが、短期滞在のビザで「韓国」から来日した女性と結婚する約束をしている。結婚後は日本で一緒に住みたいが可能か。
A 「永住者の配偶者等」への在留資格変更を行うことで可能だ。
そのためには、所定の手続きを踏む必要がある。
まず、「在留資格認定証明書交付申請書」を入国管理局に提出して上陸審査を受けなければならない。
提出書類として、あなたと妻との身分関係を証明する文書(韓国では戸籍謄本)が必要だ。
日本の市町村長に婚姻届を提出し、駐日「韓国」領事館の長などを通じて「韓国」の戸籍整理(婚姻の記載)を申請する必要がある。
ほかに、あなたの外国人登録済証明書、納税証明書、配偶者に対する身元保証書なども必要だ。
「永住者の配偶者等」の在留期間は3年、1年または6ヵ月だが、長く日本に定住すると永住許可申請が可能になる。