ウィルスに強い種イモ生産/労働新聞が病害虫駆除研所長のインタビュー掲載
共和国が今、食糧問題解決に向けて力を注いでいるのが、ジャガイモ栽培だ。栽培面積は今春までに4万3000余ヘクタールに増え、2倍に拡大された。労働新聞4月29日付によると、両江道大紅湍郡で種イモの作付が始まったほか、咸鏡南北道、慈江道、江原道などでも栽培が盛んに行われている。
一方、栽培に当たっては、種イモをウイルスから守る対策も講じられている。ウイルス対策と関連して、労働新聞3月31日付に掲載された、農業科学院病害虫駆除研究所のヤン・ヒユン所長のインタビュー内容を紹介する。
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一般的に、ジャガイモの収穫高が年を追うごとに落ち込み、絶滅の危機まで至る原因については、生態説、栄養説、老衰説などの様々な説が飛び交ってきたが、その後、20世紀に入ってからは、ウイルス説が有力になった。
ジャガイモが感染するウイルスは20種ほどである。そのうち毒性の強いものは10種に満たないが、これらはジャガイモの収穫高を1ヘクタール当たり最大94%も減らしてしまう。さらに、2種以上のウイルスに同時に感染した場合の被害はより深刻で、収穫ゼロも同然となる。
ジャガイモの種イモをウイルスから守る方法には、感染した種イモを取り除いて他の種イモへの伝染経路を遮断する方法と、初めからウイルスに感染しない種イモを作る方法の2種類がある。
ウイルスの伝染経路には、種イモからの伝染のほか、昆虫や菌からの伝染、芽や株にできた切り傷からの伝染、接ぎ木や土壌からの伝染などがある。だが、やはり多いのは種イモ経由だ。したがって、ウイルスに対する抵抗力が強く、感染しにくい種イモを作る方法が、種イモをウイルスから守るのには効果的だ。
そのためには、ウイルスに感染しているかどうかを診断する必要がある。電子顕微鏡や判別用植物を使って症状や代謝を観察する方法などがあるが、今日、効率が高いことから広く用いられているのは、免疫学に基づいた診断方法だ。共和国ではこの方法を使って、ウイルスに感染しない種イモを大量生産している。
分裂組織細胞にはウイルスの増殖を抑える働きがある。そこで、芽の先にある分裂組織細胞の切片を診断して、ウイルスに対する抵抗力の強い切片を選び出し、これを組織培養することで、ウイルスに感染しにくい種イモを作り出せるというわけだ。
この方法により、種イモのウイルス感染率を0.1%以下にまで減らすことができる。