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本の紹介/銃声なき朝米戦争―核とミサイルと人工衛星 全哲男著


 米国は冷戦後、強硬策であれ懐柔策であれ、共和国の社会主義体制を崩壊させるためにやっきになってきた。著者はそれを「銃声なき戦争」と表現する。その勝者は誰なのか。

 T章「テポドン騒動と朝米『頭脳戦争』の行方」では、「テポドン」騒動を中心にしながら、その本質的検証を試み、共和国の人工衛星打ち上げは朝鮮半島の政治・軍事バランスを根本的に転換させる意味を持つことを立証している。

 U章「核疑惑が生み出した朝米和解」では、昨年8月の共和国の「核疑惑」に端を発した朝米交渉をリアルタイムで分析し、当時新聞や雑誌に発表した文章を整理して、最小限にとどめて加筆している。

 V章「成熟する南北連邦制統一の可能性」では、南北朝鮮の統一の可能性と、その方途を探っている。

 冷戦終えん後の朝鮮半島情勢は本質的に変化してきており、様々なう余曲折があったものの、世界で唯一残った冷戦構造を解消する流れは歴史の必然と思われる。今後もこの必要性にそって展開することは必定であるが、ただ朝米関係の進展にはもう一山も二山もあるだろう。

 日本マスコミのゆがめられた共和国報道に惑わされず、朝鮮半島情勢の本質を見抜く確かな目を持つためにも、ぜひ読んでもらいたい1冊である。

 【定価=2000円、発行=株式会社社会評論社 TEL 03−3814−3861】