移転新築事業進む長野朝鮮初中級学校
8月の完成に向けて、急ピッチで建設が進む長野朝鮮初中級学校の新校舎。移転・新築プランには、今後も長野で民族教育を守り、発展させていこうとの長野同胞らの思いが込められている。建設資金を募る運動の様子からも、同胞らの熱い思いが伝わってくる。3月末現在で記帳額は3億5000万円に達したが、目標額まであと約3億円ある。長野では、新校舎が完成する8月まで全同胞的な募金運動が続けられる。
交通至便、最新設備
移転・新築プランでまず考慮したのは、交通の便の良さだ。
最近の若い父母たちは子供を寄宿舎へ入れるのをちゅうちょしがちだ。遠距離でも子供を寄宿舎に入れず通学させるケースが増えていることから、同校では県内5ヵ所にスクールバスを出してきた。
今回、高速道路のインターの近くに移転することで、多くの児童・生徒の通学条件が改善される。なかには通学時間が往復1時間以上短縮される生徒もいる。
次に、近い将来、朝鮮学校が「1条校」並みの処遇を受けるようになるとの展望のもとに、「1条校」と同等もしくはそれ以上の教育環境を整えることに力を入れた。
新校舎の敷地面積は現在の2倍。メイン、サブの2つのグラウンドを最大限確保した合理的かつゆったりした建物配置で、メイングラウンドはサッカーの公式試合が可能な作りとなっている。2棟ある校舎と寄宿舎は、背景をなす日本アルプスの山並みに調和したさわやかでシックなイメージに統一。内部の設備類も最新のものを導入する予定だ。
移転開校後は地域同胞の施設利用、周辺の日本学校との交流などを積極的に進め、地域同胞の拠点としてはもちろん、地域での国際交流の発信地としてより「開かれた学校」を目指していくという。
チャリティー公演も
97年3月の建設委員会発足後、校舎移転・新築資金を募る運動は始まったが、不況が続く中、同胞人口4500人余りの長野県で6〜7億円の目標額を達成するのは容易なことではない。
しかし、鄭武鎮名誉委員長、李源文委員長ら現校舎建設にも寄与した1世の建設委員はもちろん、その志を継いだ2、3世の若い委員らも「学校のためなら」と、数億、数千万、数百万単位のお金を出した。また格安で造成工事を請け負った同胞建設業者や、「お金は生きた使い方をしなくては」と、長い間こつこつと貯えてきたお金を寄付した同胞女性もいる。
同校オモニ会では3年前から、学校でのバザーや毎年行われる金剛山歌劇団公演の際の売店などを通じてお金を作り貯金してきた。昨年5月からは1000万円を目標に「ペットボトル1日100円貯金運動」を開始し、8月には民族楽器重奏団「ミナク」を招いてチャリティーコンサートを開催。すでに今年3月、こうして集めた500万円を学校に寄贈した。オモニ会の鄭明玉会長は「私たちも移転・新築事業の主役になって、民族教育の発展に力を尽くさなくては」と話す。
また朝青本部では「新校舎で児童・生徒数を増やしていくための第1歩として」(李載烈副部長)、日本学校に通う同胞児童にウリマルなどを教える「土曜児童教室」の運営に力を入れており、昨年に北信、この春には中信支部で新たにオープンさせている。
一方、県内の日本市民らも長野初中移転・新築に大きな関心を寄せており、中信地区では日朝友好長野県民会議松本地区の会のメンバーらが、「ペットボトル1日100円貯金運動」に参加している。