本の紹介/朝鮮史の諸相 高秉雲・編著
1989年3月に定年退職するまで朝鮮大学校歴史地理学部教授を約30年間務め、現在は同大非常勤講師、大阪経済法科大学アジア研究所客員教授である高秉雲氏が古希を迎えたのを記念して作られた論文集。高氏の長年にわたる学術研究と教育活動に敬意を表し、一層の研究成果を願う朝・日両国の10人の学者が執筆者に名を連ねた。
巻頭は高氏の論文「日本の朝鮮火田民政策」。
他の論文とその執筆者は以下のとおり。
「新羅・渤海と日本」(高寛敏・朝大教授)、「武蔵国高麗郡考」(権又根・朝大講師)、「朝鮮古代の土地制度について」(権仁燮・在日本朝鮮社会科学者協会=社協兵庫支部副会長)、「朝鮮の中世的都市形成とその発展について」(李大煕・社協中央理事会顧問)、「京都『耳塚』について」(金洪圭・社協大阪支部副会長)、「朝鮮科学技術史の時代史区分」(任正○・朝大助教授)(○は火へんに赫)、「カップの結成」(金学烈・朝大教授)、「開港から併合直後における朝鮮人労働者」(木村健二・東京農工大教授)、「解放直後(1945〜1947)北朝鮮における食糧対策について」(金秀大・朝大教授)、「近代Korea経済史研究と資料の問題」(瀧沢秀樹・大阪商業大教授)。
広い範囲にわたったジャンルの異なる朝鮮史関係の論文が収められているのが特徴だ。図や表などを多用することで、専門家以外にも親しみやすい編集となっている。
定価=5000円+税、発行=雄山閣出版、TEL
03−3262−3231