民族大団結で統一へ/90年代の歩み(11)
全民族大団結10大綱領(1993年4月6日)
自主・平和・中立国家が目標
金日成主席は1993年4月6日に「祖国統一のための全民族大団結10大綱領」を発表。翌7日の最高人民会議第9期第5回会議で採択された。10大綱領は、全民族大団結の総体的目標、理念的基礎、原則、方途を明らかにしたもので、全民族の団結した力で統一を成し遂げるための根本問題が提示されている。
まず項目(1)で、自主的、平和的、中立的統一国家の創立を総体的目標として提示。現存する南北の2つの制度、政府をそのままにした汎民族統一国家、どの大国にも頼らない自主的、平和的、非同盟的中立国家になるべきだと規定している。(2)では理念的基礎について述べ、民族愛と民族自主精神に基づいて団結すべきだと指摘。(3)では、共存、共栄、共利を図り、統一偉業にすべてを服従させる原則で団結すべきだと述べている。
(4)〜(10)では全民族大団結の方途として、一切の政争を中止すること、北侵と南侵、勝共と赤化の危惧をなくすこと、主義主張が異なるからと排斥せず、統一の道で手を取り進むこと、個人と団体が所有する物質的、精神的財富を保護し、民族大団結に資するために利用すること、接触、往来、対話を通じて全民族が互いに理解、信頼すること、全民族が連帯を強化すること、民族大団結と統一偉業における功労者を高く評価すること――などを挙げている。
10大綱領は、民族愛と民族自主精神から出発し、階級や階層の利益よりも民族の利益を優先させ、すべてを統一に服従させる内容で一貫した綱領であり、半世紀近く続いた民族内部の対決を終わらせ、全民族的な和解と団結を達成するための全民族の要求と志向を反映した、民族大団結の大憲章である。さらに、相互尊重と譲歩の精神ですべての問題を民族的見地で解決し、過去に民族の前に罪を犯した人たちであっても受け入れ、全民族の幅広い団結を実現する政治綱領である。
最高人民会議第9期第5回会議で、10大綱領の採択にあたり報告した姜成山総理は、金泳三が同年2月の「大統領」就任演説で「どこの同盟国も民族より勝らない」と述べたのは注目に値すると述べ、真に民族の自主を志向し、民族大団結を図ろうとする念願から出発したものならば歓迎すると指摘した。しかし金泳三はその後、発言を翻し、外勢に依存して同族である北との対決の道に進んだ。
金正日総書記は96年11月、10大綱領と祖国統一3大原則(72年7月4日)、高麗民主連邦共和国創立方案(80年10月10日)を、祖国統一3大憲章として定めた。