第4回朝米ミサイル協議/実験、配備は共和国の自主権に属する
3月29、30の両日、平壌で朝米ミサイル協議が行われた。96年4月(ベルリン)と97年6月(ニューヨーク)、98年10月(同)に続くもので4回目。共和国はミサイルの開発、生産、実験、配備は徹頭徹尾、共和国の自主権に属するもので、誰かと取り引きする問題では決してないとの一貫した立場を明らかにした。そのうえでミサイル輸出の中断で得られなくなる外貨を米国が現金で補償するならば、ミサイル輸出中止の問題も論議できることを示唆した。双方は共和国の提案を論議し、引き続き協議を継続するとしている。これまでの協議内容と今後の展望について見た。(基)
共和国案に沿って継続
ミサイル協議は米国の要請で始まった。協議の具体的な内容は明らかにされていないが、報道などを総合すると、これまでの米国の主張は、(1)共和国がミサイル関連技術輸出規制(MTCR、25ヵ国参加)に参加した場合、アジア開発銀行加盟を支持する(2)輸出中止に踏み切った場合、対北経済制裁を全面解除する(3)開発中止に踏み切った場合、米企業の投資を奨励し、企業進出を保証する――などだ。
しかし共和国は、(1)MTCRに参加する義務はない(2)輸出中止は現金で補償する条件でのみ論議できる(3月31日の外務省スポークスマン言明)(3)開発中止は朝米間の平和協定が締結され、共和国に対する米国の軍事的脅威が完全に除去された後に上程、討議される問題(昨年6月16日発朝鮮中央通信)、などと主張している。
今回の協議で双方は、共和国が示したミサイル輸出中止に関する現金補償案を論議し、引き続き協議することにしている。
つまり、当面は輸出問題に絞って論議を行うものと見られる。
いまだに交戦状態
報道を総合すると、共和国は昨年10月の第3回協議で、ミサイル輸出中止を行った場合の代償として、毎年10億ドルを3〜5年間にわたり継続的に拠出するよう米国に求めたと言われる。また対北経済制裁を緩和し、それによる共和国の増収が年間10億ドルに達すれば、永続的なミサイル輸出凍結に踏み切ることも打診したという。
これに対し米国は、ミサイルの発射停止と輸出削減を行ったうえで、国内の生産・開発を徐々に中止するとの段階的解除案を提示し、ミサイル問題の前進に応じて対北経済制裁の緩和や食糧の追加支援を実施する用意があることを伝えていた。しかし、ミサイルの開発、生産、実験、配備は共和国の自主権に属する問題である。対北経済制裁の緩和は朝米基本合意文に沿って米国が実施すべき義務であり、食糧支援はあくまでも人道問題である。つまりこれらはリンクできるものではなく別問題なのだ。
また、核兵器や大陸間弾道ミサイルをはじめ大量殺りく兵器を最も多く所有し、交戦状態にある米国のミサイルが共和国を狙っているのに、それに対抗するために共和国がミサイルを開発して配備できない理由はどこにもない。例えば、巡洋艦モービル・ベイ、駆逐艦カーチス・ウィルバーなど、横須賀を事実上の母港とする米国の艦船には、共和国を射程内に収めた巡航ミサイル・トマホークが搭載されており、常に共和国に脅威を与えている。