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視点


 朝鮮半島有事を想定した南朝鮮駐留米軍による非戦闘員避難訓練に福岡空港が使用された。同様の訓練で在日米軍基地の飛行場が使われたことはあるが、民間空港が使われたのは初めてだ。

 新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法案では、「周辺事態」の際に米軍が日本の民間空港などを使用することを想定しており、今回の訓練がそれを先取りした観は否めない。

 朝日新聞22日付によると、防衛庁はすでに1994年の「核疑惑」の際、在日米軍の支援要求を受け、成田、関西、福岡などの民間主要空港や主要港湾を、期間を区切って米軍の施設として提供することを検討していた。さらに、ガイドライン中間報告後の97年8月には、米軍から日本政府に対し、周辺事態の際に使用可能性がある空港、港湾リストが提出されている。

 今回の福岡空港使用は輸送機による非戦闘員の避難訓練だったが、有事の際にはこれに加えて、戦闘機が出撃する基地にもなる。いつもは旅行や出張に向かう人々でにぎわう空港の光景が一変してしまうわけだ。

 成蹊大学の加藤節教授は、新ガイドライン法制化は「この国に臨戦態勢への道を敷こうとするものだと言ってよい」(朝日新聞18日付)とその危険性を指摘した。

 空港・港湾施設を管理する自治体や民間企業、日本市民が漠然とした不安を抱く中で、恐ろしい事態は着々と進んでいる。(聖)