地下施設朝米合意――今後の課題(下)/平和協定締結
朝米が関係正常化という目標を達成するには、基本合意文に沿って関係改善に向かうとともに、交戦状態に終止符を打ち、朝鮮半島の不安定な停戦状態を、確固たる平和状態へと転換させることが不可欠な問題として提起される。つまり朝鮮半島における戦争状態の終結を法的に宣言し、朝米関係を強固な平和的関係に転換させるために、米国は朝鮮停戦協定の締結一方として、朝米平和協定締結に応じなければならない。
スケジュール案も示す
「米国はわれわれと関係を正常化すると約束したが、われわれの現実的な軍縮・平和提案に目をそらしている」
共和国と米国、南朝鮮、中国の4者会談第1回予備会談(97年8月5日、ニューヨーク)開催で合意を見た同年7月15日、当時外交部局長の金炳弘・軍縮平和研究所所長代理は平壌で本社記者の質問にこう答えながら、「仮に4者会談が開催されても、朝米平和協定、米軍撤収問題を論議しなければ無意味だ」と強調した。
共和国は74年に停戦協定の平和協定への転換を米国に提案したのをはじめ、あらゆる機会を通じて朝米平和協定締結を主張。
84年には朝米間での平和協定締結と南北間での不可侵宣言採択を内容とする3者会談を呼びかけた。94年には新平和保障システムの樹立を提案したが、それでも米国が応じないため、96年に平和協定締結までの暫定協定締結と、形がい化している軍事停戦委に代わる朝米共同軍事機構の発足を呼びかけた。
また、朝鮮半島の「恒久的平和協定を実現する過程を始めるためのもの」としてクリントン米大統領が提案した4者会談(97年12月以来4回開催)でも、会談目的に沿って米軍撤収と朝米平和協定締結を議題にするよう主張した。が、米・南が反対したため実質的な論議には入っていない。
さらに、朝鮮人民軍(代表=李賛馥中将)と国際連合軍間(代表=米空軍のマイケル・V・ヘイドン少将)の将官級会談(98年6月以来5回開催)でも米軍撤収、朝米平和協定締結を求めたが、具体的な進展は見られていない。
共和国が米軍撤収問題を提起するのは、すでに南北間の和解と不可侵および協力・交流に関する合意書が採択(91年12月13日)された条件のもとで、朝米平和協定が締結されれば、朝鮮半島での戦争の危険が除去されるからだ。米軍が南朝鮮に駐屯する口実もなくなる。
共和国はすでに10年以上も前から米軍撤収の具体的スケジュール案を示している。87年7月23日の政府声明の中で、「北と南の兵力がまず段階的に縮小されるに伴い、南朝鮮駐屯米軍も段階的に撤収」することを主張。翌88年11月7日の共和国中央人民委員会、最高人民会議常設会議、政務院の連合会議では朝鮮半島の平和保障4原則を提起。その中で南北兵力については89年末までにそれぞれ40万人、90年末までに25万人、92年末までに10万人以下にするとの3段階縮減案を、米軍については89年末までに米軍司令部と共に地上軍を北緯35度30分以南の釜山、鎮海界線まで、90年末までには地上軍の全体を南朝鮮から完全に、91年末までには海、空軍の全体を撤収するという3段階撤収案を示している。
軍事的脅威除去を
一方、先の朝米協議では29日から平壌でミサイル協議を再開することで合意した。これは第1回(96年4月)、第2回(97年6月)、第3回(98年10月)に続く4回目の協議。
共和国の立場は明白だ。昨年6月16日発朝鮮中央通信はミサイル問題について、交戦関係にある米国のミサイルがわが国の領土を狙っているのに、それに見合ったミサイルを開発して配備できない理由はどこにもないとし、その開発・配備・輸出は朝鮮人民の自主権、生存権に関する問題だと主張。そして、ミサイル開発中止のような問題は、朝米間で平和協定が締結され、共和国に対する米国の軍事的脅威が完全に除去された後に、上程、討議される問題である、と交渉に臨む原則を示している。
ミサイル協議で進展を見るためには、米国の軍事的脅威が除去されなければならない。(基)