地下施設朝米合意――今後の課題(上)/基本合意文履行
金倉里地下建設対象と関連して行われた朝米協議は16日、双方が一連の合意をみたことで終わった。合意実践にはう余曲折が予想されるが、今後の課題は何か。答えは明白。今回の協議でも再確認された基本合意文(1994年10月21日調印)を履行し、敵対関係を解消して関係正常化へと向かうことである。(基)
いまだに交戦状態
基本合意文は、米国が「核疑惑」を提起した平安北道・寧辺の黒鉛炉システムを軽水炉システムに交換する問題について言及している。
今回の朝米協議は寧辺同様、米国が金倉里に地下核施設が建設されているのではないかという「疑惑」を昨年8月に持ち出したことで提起された。
しかし金倉里地下建設対象は「非核施設」である。共和国は「米国と交戦状態にあるという鋭い軍事情勢の要求から、鋭敏なすべての重要対象を全国至る所の地下に建設していることを隠していない」(18日の外務省スポークスマン)。
昨年11月以降、4ラウンドにわたって行われた協議は、共和国の要求どおり米国が政治、経済的措置を講じることを約束したため、共和国が金倉里への訪問を米国に許可し、一連の合意に至った。
金倉里問題はこのように交渉を通じて解決の道を切り開いたが、米国が再び「第2、第3の核疑惑」を作り出し、問題にしないとは言い切れない。
それは朝米がいまだに交戦状態にあり、非正常な敵対関係が解消されていないため、不信感から米国によって別の「疑惑」が再浮上してくる可能性があるからだ。
プロセスを明示
ではどうすれば敵対関係は解消されるのか。
基本合意文では、朝米間の政治・経済関係を完全に正常化する問題と、そのプロセスが具体的に明記されている。合意事項が順調に実行され敵対ではなく平和的な関係(大使級に昇格)が構築されれば、米国が疑惑を提起し力で共和国を圧殺しようとする必要性はなくなる。つまり信頼を醸成し、敵対関係を解消することが重要課題となる。
ちなみに共和国は基本合意の義務事項とは別に、96年から昨年末までに計9回、交戦関係にある米軍と朝鮮戦争で死亡した米兵遺骨共同発掘作業を行い、信頼醸成に努めている。
にもかかわらず米国は基本合意文履行に不誠実で、2003年までに提供すると約束した軽水炉は早くとも2007年の完成予定と言われ大幅にずれ込みそうで、重油納入も停滞している。さらに共和国がすでに実施している経済制裁は公約から4年が経った今も全面解除には至っておらず、対北交渉のカードに利用されている。
基本合意文は双方が合意事項を同時に一つずつ履行し、その過程を通じて信頼を積み重ね、最終的には敵対関係を解消していく「同時行動方式」によって関係を正常化していくことを目標にしている。
今回の協議で米国が政治・経済関係を改善する措置を講じると決めたことは、自らの基本合意文不履行を認め、今後はその履行に努めていくことを改めて表明したものと言えよう。
また協議で朝米は、93年6月11日の共同声明の原則、つまり双方が核威嚇を行わず、互いに相手側の制度と自主権を尊重し、内政に干渉しないことを再確認している。基本合意文を誠実に履行してこそ、敵対関係の解消、ひいては関係正常化につながる。
朝米基本合意文(骨子)
・双方は共和国の黒鉛減速炉と諸関連施設を軽水炉発電所に交換するために努力する。
・米国は2003年まで200万キロワット発電能力の軽水炉を共和国に提供する。
・(黒鉛減速炉凍結によるエネルギー損失分として)共和国に重油を納入する。
・双方は政治および経済関係を完全に正常化するために努力する。
・双方は合意文署名後3ヵ月以内に、通信サービスと金融決済に対する制限措置などの解消を含めた貿易と投資の障壁を緩和する。
・双方は相互の関心事となる問題の解決が進展するにともない、関係を大使級に昇格させる。
・米国は核兵器を使用せず、核兵器で威嚇もしないという公式保証を共和国に与える。