sinboj_hedline.gif (1986 バイト)

99共和国経済の展望――各担当者に聞く(下)


電力・石炭/キム・ギオク電力石炭工業省動力資源開発局長

大型発電所を10数基

 ―電力事情が昨年に比べ好転しているというが。

 今年1、2月の電力生産は昨年同期比1.6倍となった。昨年、各地に建設した数千ヵ所の中小型発電所が効果を上げている。北倉や平壌などの火力発電所でも補修工事を進め、生産量を増やしている。

 ―今年の電力部門の方向性は。

 大規模な主要工場を稼働させるには多くの電力が必要だ。今年は泰川や南江など10数基の大型水力発電所の建設に着手する。もちろん各地方の実情に合わせ、必要な地域では中小型発電所を作っていく方針だ。

 石炭を燃料とする火力発電所の建設はもう行わず、既存の能力を維持する。石炭地下ガス化実験を進める安州地区では、これを燃料とする火力発電所を建設する。

 ―石炭工業と電力工業の両部門統合の理由は。

 石炭なくして電気は作れず、電気なくして石炭の採掘はできない。補い合う関係にある2部門を統合することで、両方の能率をより高めるのが目的だ。

 ―節電運動の真っ最中だが、進行状況は。
 昨年より電力生産量は増えたとはいえ、国内の需要を満たすにはまだ至っていない。経済建設の突破口を電力部門から開くには、増産と節約の両方が必要だ。

 

金属・機械/キム・スンヒョン金属機械工業省副相

朝鮮式工程で製鉄

 ―共同社説では金属、機械工業を活性化できる土台が構築されたと指摘しているが。

 昨年の金属工業部門の実績は一昨年に比べ1.5倍に増えた。黄海製鉄連合企業所では、コークスを使わない酸素熱法溶鉱炉が稼働し始めた。金策製鉄連合企業所でも昨年から、やはりコークスを使わないコレックス(COREX)炉を導入している。

 ―昨年9月の最高人民会議第10期第1回会議で金属工業と機械工業部門を統合した理由は。

 経済で実利を得るためだ。例えば、これまでは金策製鉄連合企業所で生産された銑鉄、鉄鉱板など良質の商品は海外に輸出していたが、それを機械工場に回す予定だ。それでフライス板などの工作機械を生産し輸出に回した方が何倍もの利潤を得られるからだ。

 ―金属機械工業部の今年の課題は。

 金属工業部門では、冶金工業基地の施設と能力、生産潜在力を最大限発揮させることと、製鉄部門で朝鮮式の生産工程を確立しシステム化することだ。機械工業部門では、高性能の機械をより多く生産し、輸出に回していきたい。

 

鉄道/キム・モッチェ鉄道省副相

輸送量昨年比2倍に

 ―鉄道部門の現況は。

 電気化が85%まで進み、とくに平壌―新義州、平壌―恵山、平壌―元山、平壌―清津、平壌―開城をはじめ、主要幹線は基本的に正常運行している。

 現在の鉄道輸送量は、昨年同期に比べて136%の水準。今年は昨年の2倍を目標に据えている。

 ―鉄道輸送量が増えた要因は。

 何より、共和国の電力事情の好転が挙げられる。

 中小型発電所を建設して鉄道部門に回す電力を保障し、列車の補修・整備に必要な鋼材を作るなど、物質的条件を自力で整えたことも要因として働いた。金鐘泰電気機関車総合企業所では今年に入り数両の電気機関車を生産、すでにある機関車の修理も終えた。

 また、セメントや石炭の増産、主要工場の稼働率上昇で、生産量が徐々に増えた。それによって輸送量が増えた。

 ―今年の鉄道部門の主力事業は。

 まず、老朽化したパーツを交換し、線路を補修する。今ある輸送手段と設備を補強して、その能力を最大限に発揮させる方針だ。

 羅津―先鋒市にコンテナ輸送用の貨車を送ることも必要だ。両江道や慈江道で生産されるジャガイモの輸送も担当している。

 

貿易/キム・リョンムン貿易省副相

輸出品の種類を増やしたい

 ―最近の貿易政策は。

 共和国が堅持している自立的民族経済路線と密接に関連している。国の経済発展に必要な商品を輸入し、そのために必要な外貨を稼ぐために商品を輸出するのが基本政策だ。

 ―今年の主力課題は。

 重工業を優先的に発展させながら軽工業と農業を同時に発展させる経済建設の基本路線を補強する方向で活動を進めていきたい。工作機械、マグネシアクリンカー、化学製品、レンガなど、2次産品、3次産品を積極的に輸出に回したい。輸出品の種類を増やすと同時に、加工技術を高めて付加価値を上げたい。資本主義諸国が貿易相手だけに未経験の部分も多く苦労もあるが、これまでの経験を生かして活路を開いていきたい。人材育成も中長期的に進めていく方針だ。

 ―昨年修正・補充された社会主義憲法は、特殊経済地帯での各種企業の創設・運営を奨励する(第37条)と明記しているが。

 現在、羅津―先鋒経済貿易地帯で外国企業との合弁、合作、単独投資を奨励しており、特殊経済地帯を創設する展望を持っている。法整備、インフラなど投資環境を整えるのが先決だ。