本の紹介/駐韓米軍犯罪白書 駐韓米軍犯罪根絶のための運動本部編
南朝鮮には現在、8025万坪の土地に96ヵ所の米軍基地が存在し、約3万7000人の米軍兵力が駐屯する。そのため、米軍犯罪が後を絶たず、米軍の南占領(1945年9月)以降の発生件数は10万件を超える。だが、67年締結の「韓米行政協定」によって、南当局には米軍犯罪に対する拘束捜査・裁判権がなく、犯人を逮捕しても直後に身柄を米軍に引き渡し、裁判権を放棄するパターンがほとんど、というのが現状だ。
「米軍基地は誰のためにあるのか」。本書は、民族自主を訴え、米軍犯罪を根絶する運動を続けている市民団体「駐韓米軍犯罪根絶のための運動本部」が、93年10月の発足から今日まで発行してきた各種資料集を再構成して、1冊にまとめたものだ。
同運動本部設立のきっかけとなった92年10月の米軍専用クラブ従業員、尹クミさん殺害事件をはじめ、これまでの主な米軍犯罪18件の概要を、被害者の証言と生々しい写真を添えて紹介。事件の残虐性、犯人の傍若無人さを浮き彫りにしている。
また、具体的な統計をもって犯罪の実態を解説し、犯罪が事実上、野放しとなっている主因である「韓米行政協定」の問題点を、加害者庇護と直接関連する第22条「刑事管轄権」と23条「民事請求権」を中心に指摘。米軍側に一方的に有利な同協定の本質を鋭く突いている。
巻末には主要米軍犯罪の日誌を収録。米軍側が使用権を持つ米軍供与地の実態、米軍基地での環境汚染の問題など、取り上げるジャンルも幅広く、南の現状と「在韓米軍」の実態を知る最適の1冊となっている。
【1900円+税、青木書店、東京都千代田区神田神保町1−60、TEL
03−3219−2341】