強制労働被害者に補償を/ILOが日本政府に勧告
国際労働機関(ILO)の条約勧告適用専門家委員会は11日、今年度年次報告書を公表、第2次大戦中に朝鮮半島や中国から強制連行された人たちの強制労働問題を初めて取り上げ、日本政府が被害者に何らかの補償をするよう勧告。
報告書は「ひどい労働条件の下で、私企業で働かせるため大量の労働者を徴用したことは、強制労働に値する」とした上で、それについて「個人補償がされていない」「政府間の支払いは被害者に対する適当な補償として十分ではない」として、日本政府が何らかの対策をとるべきだと指摘。
これに対し、日本政府は同専門家委に書簡を送り、「戦時補償問題は政府間で解決済み」とする、「従軍慰安婦」問題での対応と同様、従来の立場を繰り返した。
同専門家委は法律専門家らで構成され、加盟各国が労働関係の条約を守っているかどうかを検討する。報告書に強制力はないが、日本はILO加盟国にもかかわらず、条約に違反しているとなれば何らかの措置を取ることが求められる。