朝米協議で合意
朝米間の第4回地下施設協議がニューヨークで2月27日から3月15日まで行われ、共和国外務省の金桂寛副相と米国のチャールズ・カートマン朝鮮半島和平担当特使を団長とする両代表団は16日、共同声明を発表した。共同声明で双方は、朝米基本合意文(94年10月21日)および共同声明(93年6月11日)の原則を再確認したうえで、共和国が5月から米代表団を招待して金倉里に対する十分なアクセスを米国に提供し、米国は共和国との政治、経済関係を改善する措置をとることを決定した、ことを明らかにした。
基本合意文を再確認
共和国/金倉里への訪問許可
米国/政治、経済関係改善の措置
今回の朝米協議での合意の意義は、まず基本合意文および共同声明の原則を再確認した点にある。
そもそも「地下核施設」疑惑は昨年8月、米国によって提起されたものだ。米国はこれは朝米基本合意文に違反するとし、自らの義務事項をまともに履行していない基本合意文の破棄までちらつかせた。
しかし今回、基本合意文と共同声明の原則を再確認したことは、政治・経済の正常化に向けて米国が努めていくことと、相互の主権尊重や内政に干渉しないことなどを意味する。
合意の意義はまた、粘り強い対話、交渉を通じて懸案問題解決の道を切り開いたことと、米国の懸念を取り除くために共和国が示した誠意に対し、米国が応えたところにもある。
今回の合意では、共和国が「疑惑対象」の金倉里の地下施設に対する訪問を米国に許可する一方で、米国は共和国との政治、経済関係を改善する措置を取ることを決めた。
措置の内容については共同声明では触れていないが、カートマン特使は協議後の共同会見で、「ジャガイモ生産に関する2国間共同プロジェクトなど農業分野での可能性を協議し始めた」と語り、その詳細を詰める協議を継続して「早急に実行されるよう希望する」(毎日新聞17日付)と言明した。
また米国務省のルービン報道官は16日、「世界食糧計画(WFP)を通じた食糧支援を検討中だと共和国側に伝えたことをこの日、ワシントンで明らかにした」(朝日新聞17日付)。交渉関係筋によると、食糧支援は「計60万トンの支援規模になる見通し。米国は数週間以内にもWFPを通じた新規の食糧支援を表明すると見られる」(同紙)。このうち「10万トンは国際機構を通さない初の政府直接支援となる」(読売新聞17日付)と米当局者は明らかにしている。
さらに「米国の立ち入りが順調に進めば、経済制裁の一部を緩和するとの意向を共和国に伝えている」(朝日新聞17日付)という。
こういった米国の措置は「3億ドルかそれに見合った補償」を求めていた共和国への事実上の見返りと言える。
日本経済新聞17日付によると、両国は29日から平壌でミサイル協議を再開することでも合意したという。(基)
朝米共同報道文
16日にニューヨークで発表された朝米共同報道文の内容は次のとおり。
朝米代表団は2月27日から3月15日まで、ニューヨークで会談を行った。
共和国外務省の金桂寛副相と米国のチャールズ・カートマン特使を団長とする両代表団は、1998年11月から平壌、ワシントン、ニューヨーク、ジュネーブで行った討議を継続した。
双方は94年10月21日の基本合意文および93年6月11日の共同声明の原則を再確認した。
朝米は金倉里の地下施設に対する米国側の懸念を取り除くための好結果の協力が両国関係改善に寄与すると考え、以下のことに合意した。
共和国は5月から米代表団を招待して金倉里に対する十分なアクセスを米国に提供し、その施設の将来の利用に対する米国の懸念を取り除くため付加訪問を許可することを決定した。米国は両国の政治、経済関係を改善する措置をとることを決定した。