増え続ける「在韓米軍」犯罪
南朝鮮には現在、8025万坪の土地に96ヵ所の「在韓米軍」基地が存在し、約3万7000人の兵力が駐屯している。このため、米軍犯罪も後を絶たない。こうした中、米軍犯罪の根絶を訴える南朝鮮市民のデモが昨年末に200回を突破、現在も休まず続いている。南当局は「韓米行政協定」によって米軍犯罪に対する拘束捜査・裁判権がなく、犯人は逮捕直後に身柄を米軍側に移され、基地内で無罪放免というケースがほとんどだ。こうした不当な現状に市民は怒りの声を上げている。(根)
相談センターも開設
「後を絶たない米軍犯罪、米国は謝罪せよ」「『韓米行政協定』の全面改正を」――。市民団体「駐韓米軍犯罪根絶のための運動本部」のメンバー10数人が、横断幕を掲げ、ソウル・龍山区にある米軍基地に向かってシュプレヒコールを上げている。彼らは1994年12月末から「金曜集会」と題するデモを毎週、米軍基地前で行っている。昨年12月18日に200回目を数えた。
同本部は、92年10月に米軍専用クラブの従業員、尹クミさんが殺害された事件の時、南当局の裁判権行使や補償を訴えるために発足した対策委員会の運動を受け継ぎ、女性、人権、労働、市民、学生など各界24団体の参加の下、93年10月に結成。翌年には10ヵ所に被害者の相談を受ける「米軍犯罪申告センター」を開設した。現在は、@申告センターの運営A米軍基地の実態調査B女性の人権保護のための運動C「韓米行政協定」改正運動――などを行っている。
「『私たちに民族主権はない』、こう考えさせる存在が米軍です」と鄭柚鎮事務局長は語る。くじけそうな時もあったとういが、「金曜集会が力を与えてくれたから、長い間がんばってこれた。本当の『平和な世の中』を築くため、今後も積極的に動きたい」
1日平均2件発生
最近では、今年1月に「韓国」系の42歳の妻と4歳の息子を殺害し、証拠いん滅を図って遺体を焼き捨てたとして逮捕された、ジェームス・ウィリアム・パーマン米8軍海軍情報局下士官(36)の事件が記憶に新しい。
米軍の南占領(45年9月)以降の米軍犯罪は10万件を超え、93年1月から3年半の間に発生した米軍犯罪は計2293件、1日平均約2件だ。ところが、このうち南の法廷で処罰したのは107件で、裁判権行使率は2%。ほとんどの事件で裁判権が放棄されている。拘束捜査権や裁判権がないため、米軍から犯人の身柄引き渡しや裁判棄却を求められれば、応じざるを得ないのだ。
「韓米行政協定」は正式には「大韓民国とアメリカ合衆国間の相互防衛条約第4条による施設と区域、および大韓民国における合衆国軍隊の地位に関する協定」。53年締結の「韓米相互防衛条約」にある「在韓米軍」の基地使用、法的身分、民事請求権などに関する規定が67年に「韓米行政協定」として締結された。
第22条「刑事管轄権」の第一項の規定によると、米軍軍属やその家族が犯罪を起こした場合でも、処罰はできないようになっている。また、合意議事録の第22条の第2項、第9項1の規定により、南に専属管轄権が保障されている事件でも、米国側が要請すれば専属管轄権を放棄しなければならず、また米軍側に裁判を拒否する権利があることとなっている。
この規定を盾にされれば、南当局は犯人を裁判に掛けることすらできない。実際、パーマン下士官の事件の時も、逮捕直後に米軍が身柄引き渡しを要求、南当局はこれに従っている。