時事・解説/共和国経済――第2の千里馬運動へ(下)
土台の再構築
電力解決し工場フル稼動/経済建設の基本路線堅持
第2の千里馬運動を展開するうえで、最初の千里馬運動が展開された当時と共通して強調されている点がある。それは重工業を優先的に発展させながら、同時に軽工業と農業を発展させるという、党の経済建設の基本路線だ。
廃虚の中から
最初の千里馬運動でこの基本路線を掲げたのは、朝鮮戦争後の廃墟の中から経済の土台を再構築するには、重工業を優先的に発展させなければならなかったからだ。
金日成主席は重工業を発展させるために、金属工業部門を先行させながら、次に機械、電力工業など経済各部門の生産を正常化させていった。
主席は1957年から始まる5ヵ年計画初年度の計画を遂行するにあたって56年12月、降仙製鋼所(降仙、現千里馬製鋼連合企業所)を訪れ、労働者たちと鋼材を増産するための方途を話し合った。そして労働者たちは、分塊圧延機の修理期間を短縮して稼働期間を延ばすことで、既存の設備では年間6万トンしか生産できないところを自力更生の精神で12万トン生産した。また主席は57年5月に咸鏡北道を訪れ、茂山鉱山を復旧、拡張して原料を確保するとともに、金策製鉄所(現金策製鉄連合企業所)、清津製鋼所(現清津製鋼連合企業所)、城津製鋼所(現城津製鋼連合企業所)で生産能力を高める課題を示した。
このようにして生産された鋼材は、経済各部門に必要な各種工作機械を生産するのに使用された。主席が57年9月の機械工業部門全国活動家会議で各種工作機械の増産を呼びかけた後、煕川工作機械工場をはじめ鉱山機械工場、農業機械工場などの各機械工場では、鉱業に必要なウインチやクラッシャー、農業に必要な機械類、また建設に緊要なクレーンなどを生産した。
また主席は工場などをフル稼働させるため58年8月、慈江道を訪れ、禿魯(トクロ)江発電所(現在の長者江発電所)、江界発電所など建設中の大規模発電所を早急に稼働させることを呼びかけた。
このように金属、機械、電力問題を解決することによって、重工業を発展させるための土台が築かれ、工業総生産額を2.6倍に高めることを見込んだ5ヵ年計画の課題は、2年たらずで達成された。
継承された自力更生の精神
現在、重工業を発展させるためにはまず、電力問題を解決し、次に金属、機械問題を解決しなければならない。
金正日総書記は昨年1月16日から6日間、酷寒の中、慈江道を現地指導したが、同道では、50年代後半に降仙の労働者が発揮した自力更生の精神を継承して中小型発電所を多数建設、地元での電力問題解決に全力を注いだ。総書記はこの過程で生まれた精神を「江界精神」として、全国に一般化するよう呼びかけた。
総書記は今年1月18日には大規模発電所である泰川水力発電総合企業所を視察し、緊迫した電力問題を円滑に解決するには既存の発電所で電力生産を正常化させるとともに、新たな大規模水力発電所を建設しなければならないと強調した。現在、各地で建設中の大規模発電所は十余ヵ所あり、完成すれば国家の電力増産につながる。
電力は「経済の生命線」(今年元旦の共同社説)であり、電力問題の優先的解決を目指すのは、工場や企業所をフル稼働させるためなのだ。
総書記は慈江道現地指導に続いて昨年3月9日、城津製鋼連合企業所(城鋼)を、6月1日には慈江道煕川市内の煕川工作機械総合工場などを訪れた。
城鋼を訪れた総書記は、鋼鉄部門を優先させなければならないとし、鋼鉄生産を高い水準で正常化させるための対策を討議、厳しい時に鋼鉄で国を支えてきた城鋼の労働者たちが、再び千里馬に乗った勢いで大高揚の先頭に立つよう呼びかけた。
また煕川工作機械総合工場を訪れた総書記は、生産をより高い水準で正常化させる課題と方途を示した。同年10月20日にも再び同工場を訪れ、その間に労働者たちがフライス盤や旋盤を大量に製造したことを評価しながら、国の機械工業の母体工場としての伝統を引き続き生かしていくよう語った。
労働新聞2月5日付は、総書記が昨年12月17日に勝利自動車総合工場を訪れ、国の自動車工業を発展させる課題と方途を示したと伝えながら、設計事務所の技術者がすでに120余件の設計を完成させ、高性能の自動車を生産できる準備を整えたと指摘した。電力、金属、機械工業部門で成果を上げているからこそ、自動車の増産にも力を注げられる。
共和国は経済建設の基本路線を高く掲げ、第2の千里馬運動を力強く展開しながら、経済の土台を再構築しようとしているのだ。