在日朝鮮人人権侵害事件根絶へ対策を/東京・府中市民ら市長に要請
在日朝鮮人に対する人権侵害事件の根絶のため運動してきた東京・府中市在住の日本市民ら15人が22日、府中市役所を訪れ、吉野和男市長、吉野裕久教育長と面談。事件の根絶のためには在日朝鮮人への制度的差別の是正、正しい歴史教育が不可欠だとして、市が朝鮮学校を財政的に支えるなど、積極的な対策を取るよう求めた。
面談ではまず、西東京朝鮮第1初中級学校オモニ会の李壌姫会長が、昨年8月の共和国の人工衛星打ち上げ後に相次いだ生徒たちへの暴行事件について説明。子供たちが受けた衝撃と父母らの不安な心境について述べた。
市民ら一行は、4年前の「核疑惑」騒動によって同様の事件が相次いだ際にも市議会に陳情書を提出し、助役と会って再発防止を求めたが何の回答もなかったと述べ、この4年間に市がどんな対策を立ててきたのか問い質した。そして、事件の背景には差別を生む社会構造があると強調しながら、制度的差別をなくすための積極的な対策を市が立てるべきだと指摘した。
また今後、朝鮮学校支援のフリーマーケットや朝鮮料理交流会など、日本市民の間に理解を深める様々な活動を予定していることについて述べ、市が、広報紙などを通じてこうした一連の交流行事とこの面談内容を市民に広く知らせるよう求めた。
市長は、一連の事件は「日本人として恥ずべきこと」だとしながら、代表らの要求について文書で回答することを約束した。
市民らは昨年11月、「在日朝鮮・韓国人に対する差別と迫害を許さず、人間としての良心を失わないために」と題した集会を開いた後、事件の再発防止を求める陳情書を府中市議会および市長、教育長に提出し、街頭でビラを配布するなどの活動を行ってきた。現在、府中市在住・在勤者を中心に70人を超えるネットワークを作り、運動中。市議会に提出された陳情書は11月30日に採択されている。
メンバーの1人、水木敏秀さんは「4年前、市長と教育長に面談を申し込んだ時は応じなかった。当時と比べれば、今日の面談は一歩前進であり、運動を続けてきた一つの成果だと言える。しかし、市には、差別をなくしていくための長期的な視野と対策が欠けており、今後も、差別を許さないという緊張した空気を市民の側から絶え間なく送り込むことで、対策を促していく必要がある」と話していた。