第21回在日朝鮮学生文学作品コンクール/東京で表彰式
朝鮮新報社が主催する第21回在日朝鮮学生文学作品コンクールの表彰式および優秀作品発表会が20日、東京・千代田区の朝鮮会館で行われ、各部門の1等受賞者と関東地方の入選者、父母、関係者ら合わせて150余人が参加した。
共和国創建50周年を記念して行われた今回のコンクールでは、過去最多となる1672編の応募があった。
審査は、初級部2年から中級部3年までの学年別散文部門と、初級部4年から中級部2年までの学年別韻文部門、高級部の韻文部門と散文部門でそれぞれ行われ、計129編が入選した。
表彰式では、本社の金元澤社長が報告し、コンクールは朝鮮学校生徒・児童らの朝鮮語による作文、表現力の向上に寄与することを目的に1978年から行われているが、応募作品数は年々増えていると指摘。それもひとえに朝鮮学校教員らの熱意の表れだとして、主催者と後援団体を代表して感謝の言葉を述べた。
続いて、総聯中央の朴在魯副議長兼本社会長と権淳徽副議長が、学生らに表彰状と賞品を手渡した。
受賞者を代表して、高級部の韻文部門で1等を受賞した李武司さん(神戸朝高3年)が「今後も朝鮮語を一生懸命学び、民族の心を守りたい」と決意を語った。
2部の優秀作品発表会では、1等受賞者10人が作品を朗読。最終審査委員の金学烈・朝鮮大学校文学部長らが講評を行った。
なお、各部門の1等受賞者は次のとおり。
【散文】
初2―白翔浩・東京第4/「動物園見学」
初3―金泰寿・東京第4/「僕の妹は双子」
初4―金正泰・東京第1/「チャンイヨ クンイヨ」
初5―崔輝勇・北海道 /「僕のアボジ」
高 ―具良ト・京都(高1)/「現実は小説より…」
※初6と中級部は該当者なし
【韻文】
初4―皮美瑛・鶴見/「団結した力」
初4―李知純・徳山/「私のアボジ」
初5―朴喜淑・茨城/「眠れなかった夜」
中1―許萬勲・東京第4/「英語の時間」
高 ―李武司・神戸(高3)/「月」
※初6、中2、中3は該当者なし
豊かな感性を朝鮮語で表現
京都朝高1年の具良トさんは今回、制服のチマ・チョゴリにまつわる体験をテーマにした作品で応募。散文部門で、中級部2年の時に続き2度目の1等に輝いた。
具さんは国語の授業が好きで、読書や日記を欠かさないというが、作文の勉強や訓練にとくに力を入れているわけではないという。あえて秘訣を挙げるなら、「日常の生活の中で感動したり、印象深かった出来事をメモしておいて、作文の素材に生かすこと」だそうだ。
各部門で1等になった作品ではいずれも、生活の中での出来事に対する素直な感想、思いが丹念に語られ、それを通して、家族への愛情や学校生活の楽しさ、朝鮮人としての人生観などがうまく表現されている。
豊かな感性と、それを自由に表現しようとする意欲の表れと言える。
表彰式で、本社の金元澤社長は生徒・児童らに対し、「君たちの作品はハラボジとハルモニ、アボジ、オモニ、そして家族や身内に喜びと感動を与えるだけでなく、総聯と在日同胞の歩みを生き生きと記した貴重な財産になっている」と話した。
今後もこのコンクールが、新しい世代が朝鮮語を学び、感性を磨くうえでの一助となり、在日同胞社会での民族文化継承に貢献することを期待したい。