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「2月の芸術の夕べ」(26日)出演者の引田天功さんと安聖友さんに聞く


 「2月の芸術の夕べ」(主催=同実行委、協賛=日本・朝鮮文化交流協会、在日本朝鮮文学芸術家同盟)が26日、東京・新宿文化センターで行われる。芸術を通じて朝・日の友好をさらに深めようとの趣旨によるもの。16回目の今年は、世界的マジシャンである引田天功さんと、同胞マジシャンの安聖友さんが共演。本番を控えた2人に話を聞いた。 (文責編集部)

 

国境を越えてひとつに/引田天功

 日朝の友好の架け橋として「2月の芸術の夕べ」に出演でき、とても嬉しく思う。

 芸術とは国境を超えてみんながひとつになれるもの。

 昨年4月に平壌で行われた「4月の春親善芸術祭典」に出演したが、共和国では、芸術に対する深い理解があり、1アーティストの私を来賓として丁重に迎えてくれた。通訳の人も私たちが過ごしやすいように世話をしてくれたり観光に連れて行ってくれたりと、ほかの国では見られない気の配りようで、その心遣いがとても嬉しかった。これは、ほかの出演者たちも一様に話していたことだ。

 共和国について日本では色々と報道されているが、私は平壌で素直に感激し、良い印象を受けた。この体験を話すと、みんな自分も行きたいと話してくれる。私も機会があれば是非また行きたい。

 4月の祭典の際、人民俳優のチョ・チョンミさんから「朝・日友好のためにともに努力しましょう」と言われたが、私もその思いから、今回「2月の芸術の夕べ」の出演を引き受けた。

 私は5ヵ国語を話すが、外国を訪れる時にはできる限りその国の言葉を学んで現地の人たちとコミュニケーションを取るようにしている。今回も朝鮮の歌なりあいさつなり、何か一つ取り入れようと準備している。楽しみにして欲しい。

 当日は、ウェスタンとアジアの香りを織り交ぜた私独特のイリュージョンの世界を披露するつもり。ステージを通じて日本と朝鮮の関係が少しでも近くなれば嬉しい。

 

「驚き」共有し壁壊す/安聖友

 マジシャンとしてのやりがいを感じるのは、観衆の驚いた顔、恍惚とした表情を見る時だ。

 一つのマジックに対する驚きを共有する時、人々の間にある壁はすべて取り払われるような気がする。

 日本では共和国や総聯への逆風が吹き荒れているが、その中で朝・日の人々の心にできたしこりも、マジックの力で取り除いてしまいたい。そのためにも、お年寄りから子供まですべての人が楽しめる舞台にしたい。

 85年に、平壌で行われた「4月の春親善芸術祭典」に初めて参加した日が忘れられない。「在日同胞マジシャンが来た」と温かく迎えられ、マジックを通して祖国を体感した平壌サーカス劇場での記憶を再現するつもりで舞台に立とうと思う。

 今回の舞台では、平壌サーカス団が披露しているマジックの作品を、自分なりに演じてみたい。祝賀ムード一色になった2月の平壌の雰囲気を、幻想的に表してみるつもりなので、期待してほしい。

 引田天功さんと共演するが、自分のテクニックをアピールするうえで、とても刺激的な機会になると考えている。

 人があっという間に目の前から消えるイリュージョンマジックは、1秒が勝負の世界だ。ある場面でスピードが1秒遅れれば、作品全体の水準が落ちてしまう。

 観衆に「見せる」というだけでなく自分自身もこの世界を観衆と一緒に楽しむ姿勢を取ることで、力に変えている。

 今回のショーを見終えた人々が家族や友人、あるいは日本の友人と、「あの時、どうやって人を消してしまったのだろう」と話題が持ち切りになるようであれば、それ以上に嬉しいことはない。