東京中高で「99日朝教育交流のつどい」
都内の朝・日教育者たちが主催する「99日朝教育交流のつどい」(同実行委主催)が13日、東京・北区の東京朝鮮中高級学校で開かれた。朝・日の教育者、生徒の相互理解を深め友好を図るのが目的。朝・日の教育関係者と日本学校生徒180余人、同校生徒800余人が参加した。同交流会は「お互いを知ること」をテーマに、25年前から毎年欠かさず開かれてきた。例年通り公開授業が催されたほか、今年初めて東京朝高と都立の高校のスポーツ・文化交流が企画された。(琴)
差別、偏見ない社会のために
参加者はまず、高級部1、2年全16クラスの授業を自由に参観した。昨年4月から使われている新校舎の思い思いの教室に入った参加者らは、朝鮮語による授業を熱心に参観し、教科書を興味深げに見入っていた。
2人の娘と連れだって日本語の授業を参観していた野山陽子さん(都立篠崎高校)は「教育を受ける機会は誰に対しても広く開かれるべきだ。朝鮮高校卒業生の国立大学受験資格問題など解決しなければならない問題は山積みで、日本社会には未だ在日朝鮮人に対する差別意識・制度が残っており、とても恥ずかしい。娘たちを連れてきたのは幼い頃から異文化に接することで国際的な視野を広げて欲しかったからだ」と語っていた。
「スポーツや文化を通じた交流を深めることで、自分たちとは異なることも尊重し、差別や偏見のない日本社会を築く意識を身につけて欲しい」(甲谷徹都高教委員長)と願う同実行委では、今回はじめて都立の高校と朝鮮高校の生徒同士のスポーツ・文化交流を企画した。
昨年8月の共和国の人工衛星打ち上げ以降、朝鮮学校生徒に対する暴行・暴言事件が相次いだ事から、日本社会に根深く残る在日朝鮮人への差別意識を無くすためには、日本が朝鮮を植民地支配した過去に対する共通の認識を生徒らに持たせることが大切だと判断。その糸口にしようというものだ。「真の友情と連帯を育む」ためには、教員同士はもちろん、21世紀を担う若い世代が過去の歴史についてしっかり学ぶことが重要との思いからだ。
同校運動場で行われた東京朝高と都立板橋高校によるサッカーの交流試合では、両校の生徒も応援に駆け付け、温かい声援を送った。
板橋高校の庭野勝主将(2年)は「朝高サッカー部と試合するのは初めてだが、とくにディフェンスでの水準が高かったと思う。これを契機に今後も交流を続けたい」と話していた。
午後には同校生徒らによる民族楽器演奏と朝鮮舞踊、都立大山高校生徒らによる和太鼓演奏の公演が披露された。
和太鼓の演奏を熱心に聞き入っていた東京朝高の尹洋春さん(2年)は「私たちが日本学校の文化祭などで朝鮮の歌や踊りを披露する機会は多いが、逆に日本学校の生徒を招くことはめったになかった。こうしてお互いの文化を理解し、交流を通じて認識を深め合っていければ」と話していた。
東京都公立学校教職員組合の長谷川和男書記次長は「友好の輪を広げる良いきっかけとなったようだ。今後も生徒同士の交流をぜひ取り入れて行きたい」と話していた。