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地域振興券、交付・使用のポイント


 個人消費の刺激と地域経済の活性化をねらった地域振興券の交付が始まった。地域振興券は対象者1人につき一律2万円分が交付され、総額で約7000億円にのぼる。対象者は約3500万人いるとされるが、ここには永住者・特別永住者の在日外国人も含まれている。交付と使用に関するポイントを整理した。

 ――対象はどういう人

 まず、今年1月1日の時点で15歳以下の子供がいる家庭の世帯主だ。この要件に合う子供1人につき2万円分(1000円券が20枚)が配られるので、3人なら6万円分になる。

 次に今年1月1日の時点で65歳以上の高齢者だが、こちらは対象者が限定されている。

 もらえるのは(1)寝たきりや痴呆で常時介護を必要としている(2)市区町村民税が非課税――のいずれかに該当する人だ。

 例えば、息子の家族と同居して扶養家族になっている人は、息子が市区町村民税を払っている場合は対象にならない。

 自治省では、市区町村民税が非課税になる一応の目安として、1人暮らしで年金収入が年に266万6000円(所得125万円)以下、としている。個別のケースによって数字などは変わってくるので、自分が当てはまるかどうか分からない場合は、とにかく役所の窓口に問い合わせた方がいいだろう。

 ほかに、老齢福祉年金や障害基礎年金、特別障害者手当て、児童扶養手当てなどの支給を受けている人や、生活保護を受けている人、社会福祉施設に入所している人は年齢に関係なく対象に入る。

 ――交付の手続きは

 役所から交付申請書が郵送されてくることになっているが、対象になる人でも申請書が郵送されない場合もある。「自分は当てはまるのでは」と思ったら、念のため役所に確認・申請する方がいい。

 役所での申請時に本人と確認されれば、決められた日に窓口もしくは郵送で振興券を受領できる。

 ――使える範囲は

 原則としては、振興券を発行した自治体内に限られる。それも、事前に自治体に登録した取扱業者の店だけだ。有効期限は、自治体が振興券を配り始めた日から6ヵ月だ。

 ただし地域によっては、近隣の自治体と相互に使用を認め合うなど、利便性の向上を図っているケースもある。

 決められた地域の中でも、すべての商品・サービスの購入に使えるわけではない。有価証券や商品券、切手の購入、宝くじ、間接税以外の税金には充てることはできず、換金ショップへの持ち込みも禁止。つり銭も出ない。

 ちなみに、パチンコなど風俗営業に含まれる業種については、自治体によって認めている所と認めていない所がある。

 業種の選定や取扱店の募集期間は地域によって異なる。これらについては、地域の商工会でも問い合わせに応じているので、お店を経営している人は早めに確認しておくべきだろう。

 

アイデア商戦の様相/業者、商店街

 地域振興券の交付に合わせて、消費の流れを引き寄せようと巷では様々なアイデアが生まれ、さながら「振興券商戦」の様相を呈している。

 目立っているものとしては、1人当たり交付額(2万円)や、券1枚の額面(1000円)に合わせた商品・サービスの提供がある。

 旅行会社の2万円パック旅行、飲食店のセットメニュー、その他小売り店でのセット商品などだ。振興券を使用した際にはつり銭がもらえないことから、ムダのない買い物ができる点をアピールするのがねらいだ。

 ほかに商店街などで、振興券に1割上乗せたり、独自の特典を加えるなど、便乗セールも行われている。

 中には行政とかけあって、交付から40日の間、日頃の商売敵である大規模小売店では振興券が使えないようにした商店街もある。

 「日経ビジネス」98年9月7日付では、主婦300人のアンケート結果として、買い物に行く回数自体を減らす傾向が広がっていることを指摘している。不況が続き将来の不透明さが増す中で、消費者は一様に家計引き締めに走っているようだ。

 アンケートではまた、支出を縮小させる対象として、「外食」との答えが筆頭に上がっている。高単価の焼肉店など、同胞飲食業者への影響も小さくないだろう。

 ともあれ、使用できるのが交付後6ヵ月、原則として発行自治体内だけで、預貯金にも回せない振興券による「期間・地域・用途限定」の特需に乗り遅れまいと、各業者とも懸命と言える。

対象者
(※在日外国人は永住者・特別永住者)
15歳(1999年1月1日時点)以下の子どもを持つ世帯主
老齢福祉年金、障害基礎年金、特別障害者手当などの受給者
生活保護の被保護者
市区町村民税(所得割)非課税の65歳以上の寝たきり高齢者
市区町村民税(均等割)非課税の65歳以上の高齢者
交付額 対象子ども1人当たり2万円(1000円券を20枚)
使用可能地域 原則として居住している市区町村
使用期間 交付開始日から6ヵ月
使用できない主な商品と
サービス
預貯金、有価証券、間接税以外の税金、商品券、プリペイドカード、官製はがき、切手、電気・ガス・水道料金、宝くじ、公営ギャンブルなど