57歳の誕生日迎える金正日総書記/経済部門を精力的に指導
朝鮮人民は2月16日、国家の最高職責である共和国国防委員会委員長推戴後初めて、金正日総書記の誕生57周年を迎える。総書記は、昨年1月に中小型発電所を多数建設した慈江道への現地指導以降、経済部門に対する指導を精力的に行ってきた。これらによって自力で電力問題を解決し、工場を稼働させ、経済の発展をもたらすための土台が築かれた。今年元旦の共同社説では(1)経済各部門で生産を正常化させ(2)経済全般を軌道にのせ(3)人民生活を安定向上させる――ことを呼びかけ、今年を強盛大国建設のための「新たな転換の年」と位置付けた。総書記は今年1月、科学院に続いて泰川水力発電総合企業所を訪れた。より多くの電力を生産してこそ、農業や石炭工業、金属工業、鉄道輸送など人民経済の基幹工業を正常化させ、人民生活を安定させ向上させることもできる。経済分野に対する総書記の現地指導について見た。(基)
全国の模範になった江界の精神
自力更生で中小発電所建設
共和国では昨年、緊迫する電力問題を解決しようと、中小型発電所の建設を大々的に推進してきたが、その模範となったのが慈江道の江界である。
総書記は1月16〜21の6日間にわたって慈江道を現地指導し、道内各所に建設された中小型発電所をはじめ工場や企業所、新たに建設された住宅、野菜温室などを見て回った。総書記はとくに、道の人々が苦しくても国家に頼らず、多くの中小型発電所を建設したことを高く評価した。道内では、97年3月から8月の間に発電所を29ヵ所建設した。これによって同年9月までに、170余の地方産業工場と2万1300戸の住宅の照明、1700余世帯の電気暖房用の電力が解決された。
かつて戦後復旧3ヵ年計画(54〜56年)を遂行する際、共和国では何よりも鋼材が必要だったが、降仙製鋼所(現千里馬製鋼連合企業所)の労働者たちは、既存の設備では年間6万トンしか生産できないところを金日成主席の呼びかけに応え、最終的には12万トンの鋼材を生産した。これはその後、1日に1000里を駆けたという伝説の千里馬の意気込みに例えられ、千里馬作業班運動として経済各部門で一般化された。その結果、57年の工業生産は前年に比べて44%も増大し、社会主義工業国を実現(70年)させるための自立的民族経済の土台が築かれた。
慈江道でも発電所を自力で建設する過程を通じて、この降仙の精神を受け継いだと言える。
総書記の現地指導後、慈江道では昨年までに249ヵ所に中小型発電所を建設し、1万7000キロワットの発電能力を新たに作り出した。また、こうした江界の自力更生の精神は全国にも広がり、昨年末までに中小型発電所が約5000ヵ所に建設され、各地域単位で求められる消費電力問題などを解決した。
一方、総書記は今年に入って、泰川水力発電総合企業所を視察した。大規模発電所の操業を早めることで、工場や連合企業所を正常稼働させることができるからだ。
城鋼での烽火全国に
鋼鉄生産を正常化へ
総書記は電力問題を自力で解決した慈江道に続き、3月9日には鋼鉄生産を高い水準で正常化するための協議を行うため咸鏡北道の城津製鋼連合企業所(城鋼)を、6月1日には慈江道煕川市内の煕川工作機械総合工場などを現地指導した。
昨年元旦の共同社説では、社会主義建設の基本路線を確固と堅持し、新たな大高揚を起こさなければならないと強調していた。基本路線とは、重工業の優先的発展を保障しながら軽工業と農業を同時に発展させることだ。
城鋼を訪れた総書記は、鋼鉄部門を優先させなければならないとし、鋼鉄生産を高い水準で正常化させる対策を協議した。そして、厳しい時に鋼鉄で国を支えてきた同企業所の労働者たちが、再び千里馬に乗った勢いで大高揚の先頭に立つよう呼びかけた。
鋼鉄がなければ自動車や船、各種機械などがつくれない。
総書記の城鋼への現地指導について労働新聞(98年5月1日付)は「新たな攻撃戦の烽火、最終勝利の烽火」と位置付け、その烽火に沿って社会主義建設で新たな大高揚を起こすことを全国の労働者たちに呼びかけた。
城鋼では同年4月、鋼鉄を3月に比べて4.5倍多く生産し、それ以降も生産を伸ばした。
一方、煕川工作機械総合工場で総書記は、生産や運営管理状況を把握し、生産を高い水準で正常化させる課題と方途を示した。
同工場では、フライス盤を生産し、東南アジアなどに輸出する計画がある。フライス盤などを増産して輸出し、外貨を獲得する。その外貨を国の主要工業部門に投資する拡大再生産の方法で、工業を立て直すということだ。
総書記は10月20日に再び同工場を訪れ、労働者、技術者、事務員たちが4ヵ月足らずの短期間に先の現地指導で示した課題を貫徹し、性能が高く高品質のフライス盤と旋盤を大量に製造したことに大きな満足の意を表した。
そして、同工場では製品の質をいっそう高めて生産を伸ばし、経済発展に積極的に貢献することで、国の機械工業の母体工場としての伝統を引き続き生かしていくことについて強調した。
城鋼の烽火に続いて、煕川の工場でも成果が表れたと言える。
総書記の一連の現地指導には、電力問題解決後、経済建設で必要不可欠な鋼材を増産し、工場をフル稼働させ、重工業を発展させる土台をしっかりと整えようとの意図が込められていたのだ。
国の復興・発展支える科学
主体性強化し、世界のレベルに
総書記は1月11日、科学院を訪れた。これは今年初めて伝えられた総書記の指導対象である。
年初の共同社説では、「経済建設は、強盛大国建設の最も重要な課題である」と強調しながら、「科学技術は、強盛大国建設の力強い推進力である」と科学技術の重要性について指摘した。総書記は共同社説で提起された経済の課題貫徹のために年初から先頭に立っているのだ。
科学院を訪れた総書記は、長い期間をかけて新たにできた電子工学の拠点と数学研究所をはじめ各単位での科学研究事業の状況を具体的に把握し、科学者、技術者たちの業績を高く評価した。
そして、科学技術は強盛大国建設の有力な推進力であると述べ、現実発展の要求に即して科学技術事業をより高い段階に引き上げる課題を示した。
また科学者が主体的な立場で共和国の豊富な原料に基づく科学研究事業を行い、工業の主体性をいっそう強化すべきであると述べた。
総書記は95年4月にも科学院を訪れており、その間、同所の科学者と技術者たちは電子工学、熱工学、生物工学など各科学研究分野で大きな成果を収めた。
全国に科学を重視する気風を確立すれば、各所で技術革新を起こせるだろう。具体的には農業と軽工業、金属工業と機械工業などの人民経済すべての分野で提起される科学技術的問題を解決することだ。
科学者、技術者たちは昨年8月、国産の技術、力で初の人工衛星「光明星1号」打ち上げに成功している。このような気概で、国の全般的科学技術を世界的なレベルに引き上げれば、共和国の自立経済の威力はいっそう誇示されよう。
共和国のすべての科学者、技術者たちは、総書記の科学院への現地指導に励まされ、現在、研究活動にすべての力を注いでいる。
大紅湍郡での実験
ジャガイモ栽培で模範
共和国では食糧問題解決の一環として、今春からジャガイモ栽培を大々的に行うが、それは総書記が昨年10月1日に両江道大紅湍郡を訪れた後、呼びかけられたものだ。
総書記は大紅湍郡を訪れた際、ジャガイモ栽培で提起される課題を示し、ジャガイモを増産することによって食糧問題を解決するよう指導した。
共和国でのジャガイモ増産に対する方針を整理すると、(1)適地適作の原則でジャガイモ栽培に適した土地を選び、土地整理事業を行う(2)多収穫のための品種改良を行う(3)有機質肥料を増産する(4)2毛作あるいは2期作を推進する――などだ。
同郡では昨年、ヨーロッパから入手した種いもを栽培して生産高をヘクタール当たり20トンから71トンに伸ばした。またジャガイモを主飼料とする豚などの家畜の飼育を試みているが、それは食用の確保だけでなく、屎尿肥料を確保して有機質肥料を増産するためでもある。こうした大紅湍郡でのジャガイモ栽培を手本に、共和国では今春からその栽培地を全国的に2倍に増やし、食糧問題を解決しようとしている。江原道では、すでに昨年9月から土地整理事業を実施。10日発朝鮮中央通信は、総書記が現地で土地整理事業を指導したと伝えた。また咸鏡南道の咸興と平安北道の定州を結ぶ緯度40度の南側では、全面的に2毛作を実施する計画だ。
労働新聞など共和国のメディアでは連日、ジャガイモ栽培に関する記事が掲載されており、調理方法についても紹介されている。
総書記の大紅湍郡現地指導以降、大々的に推進されているジャガイモ栽培は、共和国の農業で新しい歴史を刻むことになろう。