本の紹介/楽浪文化と古代日本 全浩天著
戦前から今日まで日本では、楽浪とは中国・漢の武帝が紀元前108年、古朝鮮を滅ぼして平壌一帯に設置した植民地の楽浪郡であり、楽浪文化とは漢文化であるとの解釈がされている。
しかし朝鮮では、楽浪は古朝鮮の末えいであり、楽浪文化は古朝鮮文化とその系譜を引く独自の文化とされている。
本書では、楽浪文化に対するこのような日本での解釈や定説と、朝鮮側との見解の違いや、楽浪と倭国との関係、朝鮮半島との関係などについて、楽浪墳墓2200余基の新資料を中心に検証している。
「今なぜ、楽浪なのか。日本の弥生文化をはじめとする古代文化に影響を与え、倭国と倭の人々と深い関係をもつ楽浪と楽浪文化が問われ、全面的かつ根底的な再検討が必須であると要請されている」と筆者は言う。
資料編として、1995年4月に平壌で行われた「楽浪文化についての学術発表会」で報告された28編の研究論文のうち6編が紹介されている。
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