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高麗書芸研究会結成10周年記念展と在日朝鮮中央学生書芸展


 高麗書芸研究会結成10周年記念展・第5回在日朝鮮中央学生書芸展(主催=高麗書芸研究会、後援=在日本朝鮮文学芸術家同盟)が1月29日〜31日、東京・北区で開かれ、全国各地の同胞書芸家、書芸愛好家の作品150余点と、初、中級部部門の入賞・入選作313点、高級部部門の入賞作13点が併せて展示された。また共和国の書芸家3人の作品と、詩人の故許南麒氏の書も賛助作品として展示された。学生書芸展は今年から規模を拡大。各学校に応募を呼びかけ審査して各賞を表彰、入選作を発表する形式になった。1000点を超える応募作の中から特別賞に輝いたのは、広島朝鮮初中高級学校初級部6年の梁哲順さん、西東京第1初中級学校中級部3年の黄琴実さん、東京朝鮮中高級学校高級部3年の李成圭君。

 

本場との交流通じ

 「同胞どうし団結して民族書芸を発展させていこう」と13人の同胞書芸家、書芸愛好家らが1989年4月に結成した高麗書芸研究会。結成以来、ウリクル(朝鮮文字)を中心とした「民族書芸」の発展に尽力し、今では全国各地に500余人の会員がいる。

 研究会では、これまで94年夏と98年夏の2回にわたり共和国での講習会を企画。参加者らは平壌美術大学のオ・グァンソプ書芸講座長らからたっぷりと手解きを受けた。

 また97年には共和国からオ氏らが訪日して各地で講習会を開催。こうした本場の専門家との交流を通じて会員数も増加し、今ではすっかり「民族書芸」が市民権を得るまでになった。初日の開幕式典であいさつした総聯中央の朴点石教育局長も「ウリクルを通じて民族性のかん養に努めてきた」同研究会の10年間の活動に敬意を表した。

 研究会では毎年1回の展示会と、年に数回の講習会を開いている。また会員らは各地で教室を開いたり、各地の朝鮮学校で子供たちに教えるなど、「民族書芸」の普及に努めている。

 

自由に、個性的に

 ウリクル書芸の特徴は書体が多く、自由に個性的な字が書けること。生き生きと躍動感溢れる字、雄壮で力強い字、柔らかく優雅な字、清楚で品のある字、無邪気で荒削りな字……。展示された作品はどれも、多彩な表情を持つウリクルの魅力を伝えていた。

 京都から訪れた鄭文子さん(58)は、祖国統一への思いを込めて「ハナエ カンサン=(一つの山河)」と書いた。「3〜4年前から書を始めたが、ウリハッキョに通っていないので、ウリマルは話せるが書くことはできず漢字ばかりだった。でもやっぱり自分は朝鮮人なのだからウリクルで書いてみようと思い立った。今後も努力して来年はもっといい作品を出したい」と語る。

 大学生の安理恵さん(東京・あきるの市在住、20)もウリクルで出品するのは初めて。朝鮮の古い童謡「コヒャンエ ポ=故郷の春)」の歌詞を古典的な書体、隷書で書いた。「初級部の頃から書芸を習っていたが、ウリクルは余り書いたことがなかった。一昨年、訪日した祖国の講師に習った時にウリクルを書かなくてはと思い、昨年の夏には祖国での講習会にも参加した。記号のようなシンプルな文字であるウリクルが、表現力豊かな作品になることに新鮮な驚きを感じた。書いていて楽しい」と話していた。