ウリ民族の風習、伝統/遊戯
ヨンナルリギ(凧揚げ)


 年初の青少年の遊びにヨンナリギ(凧揚げ)がある。地方によっては、12月の中頃から凧揚げを始めるが、一般的には、旧暦の正月から15日の間が最も多かった。

 全国のいたる所で、青少年たちは、郊外に出ていき、凧揚げの妙技を競うのだが、澄み切った青空に冷たい風にのって、空高く舞い上がる紙凧は、青少年の夢をのせているようでほほえましいものだ。

 ウリナラの凧はいたって素朴簡単で、華麗さやくどさがないのが特徴である。普通の大きさは縦60センチ、横40センチ程度だが、これよりも少し、小さいものもあり、反対に縦横が1メートルを越える大凧もある。

 凧は、たいてい障子紙か白紙と竹で作られた。紙の中央に穴を開け、いくつかの竹を細かく削って、骨を作り、紙に張り付ける。凧の額を糸できつく縛り半月状にし、両側の角と下方の2ヵ所に凧糸を結んで、風速をみながら、空中に飛ばす。

 凧糸を小さいオレ(糸車)に巻いて、凧が飛ぶのに合わせて伸ばしたり巻いたりする。凧は、風に乗らなければならないので、中央の穴の大きさ、糸を結ぶ位置などを随時調整する必要がある。まさに作る人の腕前によって出来、不出来が決まる。

 凧に関する最古の記録は、「三国史記(1145年)」の金※(=上が广、中に臾)信(595〜673年)の項に見られる。

 「新羅の真徳女王元年(647年)に乱が起きて人心穏やかでなかった。その時、月城に大きな星が落ちた。そのため女王はひどく気をもみ、人々は動揺した。なぜならば星の落下は、不吉事の前ぶれと見られていたからである。心配する女王に向かって、『ご安心なされ、こちらは藁人形をつくってこれを凧につけ、風にのせて飛ばしたところ、まるで火の玉が天にのぼるようでありました』」。