朝鮮市場の歳末/大阪・鶴橋
不況の中でもチェサはきっちり
あと1週間もすると、正月がやってくる。多くの同胞の家では、全国から家族、親せきが集い、賑やかな一時を過ごす。また、正月を迎えるとチェサ(祭祀)を行い、先祖に新年の喜びと無病息災を祈願する。トンポの台所と呼ばれる大阪・生野区JR鶴橋駅前の朝鮮市場「国際マーケット」は、歳末になると、チェサや正月の準備にとりかかる人たちでごった返す。「歳末の鶴橋」をのぞいてみた。
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近畿一円から買い出しに
「やっぱり安い!」
尼崎から来た金淑美さんと孫妙伊さん(共に38)は、今年も全国から集まる30人の親せきを迎えるための「仕入れ」にやってきた。近所に朝鮮食品店はあるが、値段も安く品数も多いので、毎年鶴橋で食材をそろえるという。
先祖にまつる食膳や、正月を彩る食べ物は、美味しく作りたい。しかし、大量に作らなければならないだけに、手間を省きたいのも本音だ。
「せんまい1つにしても、乾燥されたものと、ゆでたものでは乾燥物が安い。少々面倒くさくてもみんなに手伝ってもらおうかな」(金さん)。財布と相談しながら、商品を見てまわっていた。
年末とあって、市場の魚屋にはタイやいしもちなど、チェサ用の「高級品」が所狭しと並べられている。
「みなさん、ご先祖様には、いい物を食べてもらいたいみたいです」と魚屋の主人。
果物屋を営む金東玉さん(40)は「梨や柿、干柿、栗なんかがよく出ます。なんせ不況なんで、みなさんリンゴやみかんは普段家に置いてあるものを使って、高いメロンだけを1つ買うなど、バランスをとられています」と教えてくれた。
チェサで使う蒸し豚や鳥の丸焼き、魚、シルトッなどの販売店は、歳末はとくに忙しい。普段と忙しさがあまり変わらないというキムチ屋でも、最近の「キムチブーム」で家でキムチを漬けようと、あみえびなどの材料を買っていく人も増えているとの話だった。
市場が一番混むのは、仕事が一段落した30、31日だという。2、3メートルしかない道がごった返して前に進めないほど賑う。
正月の準備といえば、女の人の負担が大きいとの印象が強いが、その頃になると女性だけでなく、夫婦同士や若者の姿もちらほら見えるという。
生野区には鶴橋駅の市場以外にも、駅から10分程歩くと、御幸通商店街、コリアタウン、コリアロードと朝鮮食品店が軒を連ねる通りがある。生野を訪れるのは、主に近畿に住む同胞だが、電車で来る場合は、駅周辺で用を足し、車で来る場合はコリアタウンの方に行くという。
案内してくれた、生野西商工会の尹※(左が王、右が工)洙副理事長は「不況でもチェサをきちんとする同胞は減ってないようですよ」と話していた。
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蒸し豚、トック、キムチ… 通信販売やってます 26〜28日まで受付 |
蒸し豚−徳山商店
*豚(カルビ、もも、前足) 1キロ 2、000円 連絡先 TEL 06(6718)0892、26日午後5時まで、代金は送料と一緒に代引き
*トック 5キロ 3,500円(5キロごと) 連絡先 TEL 06(6717)1094、28日午後5時まで、代金は送料と一緒に代引き
*キムチ(白菜、大根、きゅうり、ニラ) 1キロ 1,000円 連絡先 TEL 06(6717)0739、27日午後5時まで
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