国際市民フォーラム/日本の戦争犯罪-東京


今世紀中に謝罪と補償を

 第2次世界大戦での被害者、加害者…。内外の発言者が異口同音に指摘したのは、戦後補償はお金の問題ではなく被害者の人間性、尊厳の回復であり、正義の追求だということだった。

 「戦争犯罪と戦後補償を考える国際市民フォーラム」が10〜12日、都内で開かれた。日本の起こした戦争による被害者への謝罪と補償を今世紀中に実現し、そのプロセスを通じて和解を求め、「平和と共生」の21世紀への道を探ろうと、同実行委員会(実行委員長=土屋公献元日弁連会長)が主催したもの。米国、カナダ、ドイツ、中国、台湾、南朝鮮、フィリピンなど各国から多くのゲストが参加し、多角的な議論が行われた。

 真相究明、被害者への謝罪と補償、徹底した歴史教育などを行ってきたドイツに比べて敗戦後50余年間、何も行っていないに等しい日本に対する非難、責任追及の声が最近、米国を中心に国際的な高まりを見せている。フォーラムには、米カリフォルニア州議会が8月に採択した、日本が被害者に謝罪、賠償するよう求める決議を作成、提案したマイク・ホンダ同州下院議員も出席し、注目を集めた。

 

世界で責任追及の声/米で相次ぐ立法、訴訟

 米国では最近、日本の戦争犯罪の責任を追及する動きが盛んだ。

 カリフォルニア州議会では7月、第2次世界大戦中の強制労働に対する補償請求の提訴を認める法律が成立した。また同議会は8月、同大戦中の日本軍による戦争犯罪について、日本政府が公式に謝罪し、犠牲者に速やかに賠償するよう要求する決議も採択した。 (決議案を作成、提出したマイク・ホンダ議員のフォーラムでの発言別項)。

 その対象には、元「従軍慰安婦」や強制連行・労働の被害者なども含まれている。また同法案の、米連邦議会での採択を目指す動きも始まっている。

 一方、米連邦上院は、南京虐殺事件や731部隊の人体実験など、日本軍の残虐行為に関する米国政府の機密資料を収集し、公表するための大統領特別委員会を設置する法案を作成中だという。またナチスドイツや同盟国の占領地域で強制労働や生体実験の対象となった被害者や遺族が、国籍を問わず米国の法廷に損害賠償請求訴訟を起こせるようにする法案も上院に提出されている。

 こうした動きを受けて夏以降、三菱重工業など米国に現地法人を置く日本の大手企業に対し、戦時中の強制労働の賠償を求める訴訟が相次いでいる。原告となっているのは日本に強制徴用された経験を持つ在米同胞や、捕虜として強制労働させられた元米兵らだ。

 また、フィリピン下院議会にも日本政府が「慰安婦」被害者のための戦後補償法案を制定するよう求める決議が提出され、現在審議中だ。

 20世紀に起こした侵略戦争、植民地支配の歴史を忘却したまま21世紀を迎えようとする日本を、世界は決して許さない。どう向き合うのか?――鋭い問いが、日本に突きつけられている。
(韓東賢記者)

 

別項
被害者の人間性回復へ/カリフォルニア州下院-マイク・ホンダ議員

 太平洋戦争末期、日系米国人は米政府によって強制的に収容された。私もその1人だ。米政府に謝罪を求める運動のリーダーとなってたたかった結果、88年、大統領からの謝罪と国からの補償を得たが、それがカリフォルニアの日系人社会に与えたインパクトは大きかった。私たちが過去を見つめ、人間としてのプライドを取り戻し、立ち直ることを可能にした。このように、謝罪と補償は被害者の癒しになる。お金の問題ではない。

 実は私は数年前まで、日本の過去の戦争犯罪についてあまり知らなかった。しかし、カリフォルニアのアジア人コミュニティーが拡大するなかで、その横のつながりを阻んでいるものが過去の戦争の記憶、被害者の心の傷だと分かった。強制収容の過去を持つ日系人としての経験からしても、被害者の傷を癒すためには謝罪と補償が必要だ。それは被害者の人間性の回復であり、正義の追求だ。

 ドイツは、責任を受け入れる努力が可能だという、いい前例を日本に示した。もう時間がない。日本は、当事者が生きているうちに、被害者への謝罪と補償を行うべきだ。