春夏秋冬


 靴とはファッションだけの存在、靴の魅力はモードとしての靴の美しさ、と思っている人、とくに女性には多いのではないだろうか。しかし、靴にはもう1つの重要な要素がある。それは健康具としての役割である。欧州では、このような考えは広く普及しているが、日本はまだまだ認識不足という。靴文化の歴史が違うからだ

▼緯度の高い欧州では、紀元前から足を覆う履物である靴が履かれていたといわれる。この間、試行錯誤を繰り返しながら現在の靴育ててきた。しかし日本は高温多湿なため、開放的なサンダル形式の下駄や草履が主流だった。日本で広く一般の人までが靴を履くようになったのは戦後のこと。50余年の歴史しかない

▼この浅い歴史の中で靴は必需品、消耗品からファッションにまで一気に広がり、普及した。しかし、本来の靴の「使い方」という大切なものを日本では置き去りにされた。それは、快適な履き心地や健康を保つという「知恵」であ

▼欧州では1日中、靴を履いて生活している。そのため両親は幼児の時から、よく合った靴の履き心地とはどのようなものかを教える。さらに学校でも低学年のうちに、足の構造と機能、正しい歩き方と正しい靴、靴と健康などについて分かりやすく教えるという。靴に関する思想が根本的に違うのだ

▼実は筆者も、ここまで靴について考えたことはなかった。以上のことは最近読んだ、靴と健康に関する数冊の本から得た知識。いずれも近く、本紙5面「健康・趣味」欄の「本のプレゼント」で取り上げる。関心のある読者はぜひ応募を。葉書を待っています。(喜)