平壌レポート


 平壌の中心にある人民大学習堂では、専門講師による「市民講座」が定期的に開かれている。希望すれば誰もが参加できる。

 10月下旬、「日本の賠償と補償」と題する講座が開かれた。テレビで紹介されることもあってか、他の講義に比べ、多くの市民で席が埋まった。

 「日本は唯一、朝鮮に対してのみ、過去の罪過を認めていません」。講師を務める社会科学院研究院の研究員、チョン・ナムヨンさん(58)が切り出す。

 「最近、日本から『朝鮮半島情勢が緊張緩和に向かっているので、朝・日関係も改善されるべき』という声が聞こえてくるが、本質を見誤っている。朝米関係が進展しても、被害と加害という、朝・日関係に変わりはない」

 受講生の多くは、日本の植民地支配を経験したことがない「解放後世代」だ。日本市民と交流した経験もほとんどない。しかし90年代に入って、日本の国会議員が、関係改善のために平壌をたびたび訪れるようになったことで、「若い世代が、現実と照らし合わせ、日本という国を考えられるようになった」(チョンさん)という。

 職場の同僚と人民大学習堂に寄り、偶然講義を聞いたというチャン・ミファさん(37)は、「日本はどうして自分の罪を率直に認めないのだろう。人間の度量が小さいというか、陰険というか…。」と不思議そうな表情で語っていた。【平壌発金志永記者】