ウリ民族の風習、伝統/セシ(歳時)―ラヴォル(陰暦12月)
小鳥の肉を用いる
12月を師走(しわす)、または臘月(ろうげつ)と呼ぶ。朝鮮でも陰暦12月を「ラヴォル(臘月)」といい、一般的には、「ソッタル(除月)」と呼んだ。
「ラヴィル(臘日)」には、宗廟(国王の祖先の墓を囲む建物。「みたまや」)などで「ラッピャン(臘享)」を行う。トンジ(冬至)から3番目の「未(ひつじ)の日」がその日にあたり、陰暦12月8日前後、陽歴では1月8日前後になる。
李朝時代には、ラヴィルに宗廟と社禝(土地の守り神)で大祭が行われた。
ラップの「臘」は、「猟」に通じる(「東国歳時記」洪錫謨著)。
昔、ラッピャンの夜に農村では、「小鳥取り」を行っていた。2〜3人が隊を組み網を持って、小鳥が住む屋根の軒を探して歩きながら取った。網を小鳥の巣のある場所に当て棒で屋根を強く叩くと、小鳥が驚いて飛び出して網にかかる。また、小鳥が多く眠る茂みでも、同じような方法で小鳥をつかまえたりもした。
ラッピャンの日の小鳥の肉は、味がよいだけではなく、小児が食べると無病で過ごせるといわれた。
また、ラッピャンの日に降った雪は薬になるといわれ、庶民らは雪を瓶などにつめて保存したという。
そうすると雪が溶けて「雪の水」になり、その水を漬け物に注ぐと味が変わらず、衣類などに塗ると虫がつかないとされた。
この日、宮中の内科院・医薬局では、丸剤を作って国王に進上した。これを「ラビャッ(臘薬)」と呼んだ。国王はこの丸剤を侍臣に分け与えたのである。各種丸剤のなかで、主なものとして清心丸は食当たりに効き、蘇合丸は暑気による衰弱に効いたという。(前掲書)