言いたい、聞きたいリストラ対策術


 長引く不況とリストラによる雇用不安。企業が次々と倒産し、新聞で「リストラ」の文字を見ない日はない。これらは、同胞女性たちの身にも無縁の話ではない。本紙に寄せられた相談を検証しながら、いざ自分の身に起こった時のための「対応術」を磨いておきたい。(朴日粉記者)

 

あきらめず戦う/「女性だから」は違法

ケース(1)

 南永淑さん(35)=仮名=東京都内の専門学校の経理部で働く派遣社員だ。会社の女性はほとんど独身で、産休後も働いている女性はわずか数人しかいない。産休前、上司に呼ばれ、「家庭の事情はどうか、健康状態はどうか。子供が病気したら誰が看病するか、休まれたら困る」などと執ように言われた。

 会社は南さんが辞めるものと思っていたようだが、怒り心頭の南さんは、労働組合に加入して、会社と交渉した。会社は出産に伴う退職強要や不利益取り扱いがあったことを認めて、嫌がらせをやめた。南さんは職場で明るく頑張っている。

メモ

 今年4月1日からスタートした日本の新均等法では、男性60歳、女性58歳などの男女別定年制や、女性を理由に解雇することを禁止している。

 さらに経営悪化を理由に人員整理する時、「女性だから」、「子供のいる女性だから」と先に解雇するのは、明白な新均等法違反だ。(新均等法第8条2、3項より)

 

ケース(2)

 都内の中堅スーパーで働く朴理恵さん(45)=仮名=は、会社を辞めようか、どうか迷っている。仕事の内容は正社員と全く同じなのに、既婚女性はパートでしか雇ってもらえず、給料は半分。スーパーには、正社員は数人しかおらず、古株のパートが、服装のチェックから、化粧の仕方、あいさつの仕方まで、細かく注意するなど、嫌がらせを受けていた。たまりかねて、社員に相談すると、翌日には、会社中にその内容が伝わっていた。

メモ

 パート、派遣社員、契約社員という様々な働き方が広がっている。それが、仕事は同じなのにパートの女性を安く使っている場合には、女性への差別であり、違法行為だ。パートは、多くの場合に賃金が安く、身分も不安定である。パートで働く時には、正社員への転換ができるか要チェック。(『職場を変える。あなたが生きる』より。TEL 03・3940・3892)

 

知っておきたい新均等法

阿部裕行弁護士の話

 「リストラ」を告げられたらどう対応すればいいのか。新東京法律会計事務所の阿部裕行弁護士(同胞法律・生活センターの相談員)に聞いてみた。

   ◇     ◇

 まず、リストラを告げられたり、肩たたきをされた場合、絶対その場ではイエスと言ってはいけない。

(イエスと言った場合、任意退職=自己都合退職扱いされ、後で、会社と裁判でたたかう場合に不利になる)。

 次に、どういう理由で解雇するのか、その場で確認する。できれば、書面で確認する。解雇は合理的理由がなければ無効である。また、会社側が用意したあらゆる文書にサインしない。

 解雇通告を受けても、4、5日は、会社に出てきて働く意思を示すことも必要。「私は解雇は認めませんよ。労働契約に従って働きます」という姿勢を明確にする。1人で悩まない。労働組合に加盟し、団体交渉するか、自治体の労政事務所、弁護士らに相談する。(別掲)

 その他、懲戒解雇事由などがない限り、突然の解雇通告は、違法だということを知るべきだ。会社側は解雇を、30日以上前に予告するか、30日以上の平均賃金を、労働者に支払らわなければならない。

 また、女性労働者の場合は、今年、4月からスタートした新均等法の勉強をしておくことも必要。男女別定年制や、結婚・妊娠・出産による退職制度、結婚・妊娠・出産・産休の取得を理由とする解雇、そして女性であることを理由に解雇することは新均等法で禁止されている。(談)

 

相談窓口

◆朝鮮総聯の各本部・同胞生活部へ。同胞法律・生活センター、TEL 03・5818・5424、女性ユニオン、TEL 03・5352・6630、東京都女性少年室、TEL 03・3814・5372(道府県庁の場合はその女性少年室へ)、または労政事務所(都道府県の当該機関に電話すれば、各地域の連絡先を教えてくれる)

◆参考図書は「新均等法・積極活用・ポジティブアクション」、働く女性のための弁護団発行(300円、TEL、FAX03・3940・3892)