春夏秋冬
村山富市元首相(社民)を団長とする超党派訪朝団が動き始めた。日程は来月1〜3日と報じられている
▼90年以降、大型訪朝団は90、95、97年と3度あった。90年の、金丸信元副総理(自民=故人)と田辺誠元委員長(社会=当時)を団長とする訪朝団は、朝鮮労働党との間で3党共同宣言を採択。翌91年からの朝・日国交正常化会談への道を開いた
▼今回の訪朝団は政権党の自民、公明、自由に加えて、民主、共産、社民、改革クラブなど主要政党すべてが顔をそろえる。これは今までになかったことで、文字通り超党派である。92年の第8回会談以後、中断状態にある朝・日会談再開、さらには関係改善の契機になるのではないかと、注目されるゆえんである
▼しかし、そこまで進むには、日本側が乗り越えるべき関門は多い。一言でいえば、朝鮮半島の植民地支配に対する謝罪と補償である。項目を上げるなら、第2次大戦時の強制連行・強制労働、「従軍慰安婦」、「BC級戦犯」、文化財・地下資源略奪、被爆者など多岐にわたる
▼さらに19日には、横浜に住む91歳の同胞女性が、「虐殺された同胞のためにも、日本政府に謝ってほしい」と、23年9月の関東大震災時の朝鮮人虐殺真相究明、謝罪を求めて日本弁護士連合会に人権救済を申し立てた。女性は当時、品川で現場を目撃し、自身も被害にあいかけた
▼日本の敗戦から来年は55年になるが、過去の問題は、ほとんど手付かずのまま積み残されてきた。前に進もうとするのなら、日本政府は過去というハードルを必ず越えなければならない。(彦)