知っておきたい年金制度/最も身近な社会保険
日本の社会保障制度の最も大きな柱である、社会保険制度。従来の年金保険と医療保険に加え、来年4月からは新たに介護保険がスタートする。中でも年金保険は、年老いた将来の生活維持に必須であるという意味で、最も良く理解しておくべきものだ。だが、耳にする機会はあっても、具体的な内容を問われると、よく分からないという人もいるだろう。私たちの生活に最も身近な存在、年金の仕組みについて見た。
国民・厚生年金、共済など「地域」「被用者」の2階建て
年金の種類と内容
日本の年金制度は、日本に住む20歳以上60歳未満の人を基本的に全員、被保険者とする国民年金(地域保険)と、サラリーマン(被用者)を対象とした厚生年金や共済組合(被用者保険)の2階建て構造だ。
国民年金は共通の基礎年金である。サラリーマンでない人は、地域を通じて、1階部分に当たる国民年金のみに加入する。低額の保険料を支払い、年を取れば、定額の老齢基礎年金のみ受け取ることになる。
これに対し、サラリーマンの場合は、会社を通じて、1階部分の国民年金と2階部分の厚生年金あるいは共済組合の両方に加入する。つまり、サラリーマンは厚生年金の被保険者あるいは共済組合の組合員であると同時に、国民年金の被保険者ともなる。給料に応じた保険料を支払い、年を取れば、老齢基礎年金とともに、報酬比例の老齢厚生年金や退職共済年金も受け取ることができる。
被保険者の要件
国民年金の被保険者は、第1号被保険者(日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の者で第2号、第3号被保険者以外の者)、第2号被保険者(被用者年金の被保険者あるいは組合員)、第3号被保険者(第2号被保険者の配偶者で、第2号被保険者の収入で生計を維持する20歳以上60歳未満の者)の3種類に分類される。
加入要件も細かく規定されている。
例えば、サラリーマンであっても、勤め先が厚生年金の適用除外対象であれば、第2号被保険者とはならず、第1号被保険者として手続きをする。また、20歳未満で加入可能なのは第2号被保険者のみだ。
手続と保険料納付
実際に国民年金加入の手続きが必要なのは、第1号、第3号被保険者。各市区町村長に届け出を提出する。サラリーマンの場合、第2号被保険者の資格を取得すれば届け出は不要である。
保険料を個別に納める義務があるのは第1号被保険者のみ。保険料は月額1万3300円。
第2号被保険者は自分が属する被用者年金制度が、第3号被保険者は配偶者が属する被用者年金制度が、それぞれ保険料を出してくれるので、個別納付の必要はない。
年金支給条件
老齢基礎年金の支給条件の原則は「25年以上の受給資格期間を満たしている者が満65歳に達した時」というもの。
受給資格期間には、保険料を払っていた「保険料納付済期間」、法定または申請により保険料納付義務を免除されていた「保険料免除期間」、国民年金に加入していなかった期間を資格期間に通算してもらえる「合算対象期間」(カラ期間)の3つがあり、合計25年以上あれば、年金が支給される。